第77回アカデミー賞オスカー受賞(主要5部門ノミネート、脚色賞受賞)で全世界から賞賛された映画『サイドウェイ』を、オール海外ロケ・海外スタッフという画期的な試みで、まったく新しい日本映画として生まれ変わらせた『サイドウェイズ』。

その公開に先立ち、10月1日、東京・有楽町の外国特派員記者クラブにて特派員の皆さん向けの試写会および、亀山千広プロデューサーとチェリン・グラック監督が登壇し、会見を行いました。

【外国人特派員記者クラブ 会見概要】

◆日程:10月1日(木)
◆会場:社団法人日本外国特派員協会

◆登壇者:
チェリン・グラック監督
亀山千広プロデューサー(フジテレビジョン)

Q:「サイドウェイ」を日本人スタッフで作り直したのはどうしてですか?

亀山プロデューサー:
日本には「サイドウェイ」のような、大人のための青春映画があまりないのですが、アメリカにはそういった映画が沢山あって、レンタルショップで借りて行く人も多いので、「サイドウェイ」のような大人のための作品を日本でも作れたらいいなと思ったのがきっかけです。

ハリウッドメジャーの作品なので、「もし、リメイクを希望したら弁護士が3〜4人は出てきて、制作までのハードルは高いんだろうなぁ」と思っていたのですが、すぐにプロデューサーが快諾してくれて、クリエイティブな話が出来たので嬉しかったですね。

Q:小日向、生瀬、鈴木、菊地をキャスティングした理由を教えて下さい。

亀山プロデューサー:
小日向さんと生瀬さんは、情けない男に見えるからです(会場笑)。
真面目な話をすると、菊地さんを除く3人は舞台の経験がふんだんにあるので、コメディをしっかりと演じてくれると思ったからです。また、これまでに何度も一緒に仕事をしていて信頼しているからですね。

実際、撮影に入ったら、現地のスタッフが彼らを見る目がどんどん変わって来て、3日で信頼を勝ち得ていたと思います。

菊地さんは、(国際的な知名度のある)菊地さんの出演を決めたら、20世紀フォックスから制作の了承をもらえると思ったからです(会場笑)。
鈴木さんは、ワインバーで出演交渉をして、口説き落としました(笑)。

Q:生瀬さんの演技がオーバーアクトだった気がしたのですが。

チェリン監督:
生瀬が演じた大介の役は、日本からアメリカに渡って既に20年以上が経っている設定だったので、生瀬にはアメリカナイズされた男を演じてもらいました。だから、オーバーアクトだったとは思いません。

Q:チェリン監督、日本人と一緒に仕事をしていて、好きな面と苦手な面を教えて下さい。

チェリン監督:
苦手な面は、今回の作品に関してはまったくなかったです。好きな点は、すごくプロフェッショナルだという点です。今回は、慣れていないハリウッド方式の撮影で、きっと大変だったと思うのですが、完璧な準備をして撮影に入ってくれました。また、いきなり「15分後から撮影!」なんて事態になった時でも、すぐに集中して役に入ってくれました。

日本人の苦手な面を敢えて言うのであれば、僕は物事をはっきり言ってしまうタイプなので、相手にもはっきりものを言って欲しいですね。
リドリー・スコットが「ブラック・レイン」を日本で撮影した時に、『日本人のイエスはノーで、ノーは多分ってことだ』と言われましたが、まさにその言葉が当てはまると思います(会場笑)。

亀山プロデューサー:
日本人はどうしても遠慮しますからね。ただ、チェリンは、逆に気がつかなさ過ぎですよ(会場笑)。

Q:ハリウッドの作品で、他にも日本人スタッフで新たに作り直してみたい作品はありませんか?

亀山プロデューサー:
それはいっぱいありますが、もし「サイドウェイズ」のような作品があって、リメイクを許してくれる心の広いプロデューサーがハリウッドにいたら、ぜひやらせてもらいたい、という気持ちはあります。

■公開表記
10月31日(土)より、全国ロードショー