人気作家・桜井亜美と安達寛高が再び贈る、<映像>ものがたりである本作。
デビュー作「イノセントワールド」から一貫して、大人になる直前の女の子の純粋で危うい感情を描き続ける桜井亜美と、「GOTH」「ZOO」など代表作が次々に映画化され、コラボレートでの活躍もめざましい安達寛高(乙一)の2人は2007年、“映画監督”として映像作品を発表。発表の場となった『東京小説 乙桜学園祭』は期間限定で劇場公開され、惜しまれつつその幕を閉じた。

そして2009年・秋。また2人が“映画監督”として物語をつむぐ。キーワードは「星」と「本」。桜井亜美は、お互いの存在を頼りに生きる孤独なキョウとメイの運命を描いた、自作「PLANETARIUM」を映像化。透明感あふれる若手キャストとサプライズな特別監督を迎え、映像でのみ語ることのできる繊細さと大胆さを映画『PLANETARIUM』に凝縮させた。

一方、前回3D映像に挑戦した安達寛高は、書き下ろし脚本を自ら映像化。『一周忌物語』と名付けられた本作が描くのは、事故で息子を亡くした母親と、生前息子がつきあっていた彼女との奇妙な出会い。安達は、一定の距離を保つ冷静な視点でありながら常に優しく対象をみつめ、残されてしまった母親と彼女の感情の機微をつぶさにすくい取る。

映画『天体小説 〜乙桜学園祭2〜』初日舞台挨拶がユーロスペースにて行われ、桜井亜美、安達寛高の両監督をはじめ、キャストが勢ぞろいし、登壇者は映画に関するエピソードを語った。

登壇者:桜井亜美監督、中谷友保さん、上野まなさん、佐々木一平さん(『PLANETARIUM』)
安達寛高監督、小深山菜美さん、要田禎子さん、藤真美穂さん、柴原虎之介さん(『一周忌物語』)

□桜井亜美監督「沢山の方に来ていただき、本当に嬉しいです。ありがとうございます。本作では、恋人と抱き合って一緒になる、という事を生々しく演じてほしかったですし、ラブシーンもリアルにやりたかった。しかし、中谷君は一応14歳という設定ですが、現在16歳です。キスもしたことがなくて、恋愛の経験がなかった。そのため、2人で試行錯誤しながらも、本当に愛し合っている2人を描くにはどうすればいいか、考え抜きました。」

□中谷友保「普通の高校生ですが、親を知らないという役を演じました。この映画が初めての演技であったので、発声から体の動きに至るまで指導してもらいました。」

□上野まな「かおりん先生を演じました、上野まなです。子どもたちの先生なので、素のままの自分で演じました。撮影中に機嫌を損ねてしまう子もいたので、子どもに、頑張ろうね、と励ましながら演じていました。アドリブは多かったですね。キャストの他に音楽も参加させていただき、「心の架け橋」という本編で使われたオリジナル曲も制作致しました。」

□佐々木一平「桜井監督からは、オタクっぽい先生をイメージして、といわれました。また、監督から「ダジャレを言って」といわれていたので必死にダジャレを考えて、本番に臨みました。そうしたら、本番になって桜井監督が爆笑してしまい、カメラがぶれてしまった事も(笑)結局、そのシーンはカットになりました(笑)」

□小深山菜美「印象的なシーンはラストの要田さんに抱きしめられるシーンです。すごく温かく感じたのを覚えています。」

□要田禎子「撮影で使われたお家はとても古いものでした。撮影終了後に取り壊されてしまうという事で、この映画の中でしかもう二度と見れないお家になってしまいました。雰囲気のある、素敵なお家で、演じやすかったのを覚えています。」

□藤真美穂「私は途中から参加する形であったので、早く皆さんととけこめるように、お菓子の差し入れをしました。小深山さんが、とっても細い体で、お菓子を沢山食べてくれたのが、意外でしたね(笑)」

□柴原虎之介「キャストの仕事と並行して裏方のスタッフの仕事もしておりました。バイクのプラモを作ったり、バイクで名古屋まで監督を送ったり。」

□安達寛高監督「本日はお越し下さり本当にありがとうございます。今日から2週間、桜井監督と、ゲストの方を招いて、本編上映後にトークイベント「乙桜学園祭」を行います。痛々しいトークをするので、皆さま是非遊びに来てください。」

わたしたちを出会わせたのは「星」と「本」だった——。
人気作家・桜井亜美と安達寛高が再び贈る、<映像>ものがたりを是非ご堪能ください。

映画『天体小説 〜乙桜学園祭2〜』は9月26日から10月9日までユーロスペースにて2週間限定レイトショー。

(Report:椎名優衣)