『クー牯リンチェ嶺街少年殺人事件』『藍色夏恋』を生んだ台湾映画界から、今また新たな青春映画の傑作が誕生した。
1996年夏、台北郊外の街、新竹を舞台に、9人の高校生たちの愛と友情、そして甘く切ない時のうつろいをみずみずしい映像美とともに描き出した、映画『九月に降る風』である。
08年6月に台湾で封切られるや、予想外の大ヒットを記録、マスコミからも「この10年間の台湾映画のベスト」と絶賛され、上海国際映画祭アジア新人賞部門グランプリを皮切りに、台北映画祭では審査員特別賞、メディア推薦賞、脚本賞、新人賞の4冠に輝いたほか、数々の映画賞を受賞、名実ともに08年の台湾映画界を席巻する一作となった。

本作は日本での上映が決定し、初日舞台挨拶がユーロスペースにて行われた。予告編のナレーションを担当した斎藤工、キャストのジェニファー・チュウが登壇し、映画の魅力を語った。

Qナレーションのお仕事はどうでしたか?
□斎藤工「まず、作品を見た時に、台湾映画の魅力を感じました。外国の作品ではありますが、何か懐かしさを感じました。自分の青春時代を思い出しましたし、素敵な作品であると思います。」

Qジェニファーさん、斎藤さんのナレーションはどうでしたか?
□ジェニファー・チュウ「ナレーションの入った予告をみた時に、本編とはまた違った魅力を感じました。」

Qトム・リン監督と会ったそうですね。
□斎藤工「一か月前に会いました。大御所の監督であると緊張していたのですが、とても若い監督で、コーラを頼んでいましたね(笑)でも、芯の部分がしっかりしていて、色々な話をしました。いつか、一緒に作品ができたらと、前向きなお話ができました。」

Q撮影時のエピソードを教えて下さい。
□ジェニファー・チュウ「屋上のシーンの時、思わず泣いてしまった事ですね。あの屋上のシーンは風景も素晴らしいし、注目して下さい。」

Q最後にお二人から、観客の方々へメッセージをお願いします。
□斎藤工「私はアジア映画をみて育ちましたので、こうやってナレーションを担当でき、初日舞台挨拶に登壇できて本当に嬉しいです。アジアで今面白い映画が沢山生れています。楽しんでみて下さい。ありがとうございました。」

□ジェニファー・チュウ「日本で公開されるのは本当に嬉しいです。皆さん、本編を是非楽しんでいって下さい。」

なお、原題の「九降風」とは、新竹に9月に吹く季節風のことを指し、この時期、台湾では卒業&入学シーズンと重なることもあり、日本の桜のように青春の新たな旅立ちと別れを象徴する代名詞ともなっている。
映画『九月に降る風』は8月29日(土)よりユーロスペース、シネマート新宿 他にて全国順次公開。

(Report:椎名優衣)