「第2回したまちコメディ映画祭 in 台東」が9月21日〜25日に開催され、合プロデューサーを務めるいとうせいこうさんより発表された。
記者会見となった旧東京音楽学校奏楽堂は、重要文化財に指定されており、会見冒頭には、日本最古といわれるパイプオルガンによる演奏もあり、古きよき文化に新しい映画祭と下町らしさをPR。
今年から新設されたコンペ「したまちコメディ大賞2009」には、審査員長の大林宣彦監督、審査員で女優の岸本加世子さん、放送作家・監督の堀部圭亮さん、しりあがり寿さん、いとうせいこうさんが務める。ほか、特別招待作品などのアジアのコメディ作品を中心に全64本の長短編が上映される。
審査員も含め、浅草とは、縁のある方が一同に集まる。

■いとうせいこう(総合プロデューサー):

まさか第2回目が大きくなるとは思わなかった。縮小する映画祭が多い中、かえって打って出るということができて感激している。
コメディが持つ人間を肯定する気持ちがそうさせたかったのかな。重責を感じるが楽しい映画祭になるよう頑張りたい。
浅草・上野という2つのエリアは芸人をたくさん育ててきて、江戸時代からそういうことをやってきた町。コンペティションで、新人の監督たちが出てきたら、町で「おいおい面白かったな」焼き鳥でも食っとけみたいな話になることを夢に見て映画祭をはじめました。
そして早速、その場を設けさせていただくことができました。観客の皆さんにも、サポーターの皆さんにも審査に参加していただいて、この町からたくさんの人たちが育っていくことを信じている。クオリティの高い207作品が集まったことにも感謝しています。
昨年の雷門でのレッドカーペットは一番お客さんとの距離が近かった。今年は昔江戸でもあった船乗り込みからの、レッドカーペットをやる。
船乗り込みレッドカーペットという、日本と西洋が一つになったオープニングにした。世界の映画人が見た時、「俺あれ乗りたい」といわせるようなものにしたいと思っている。アジアの映画や周辺イベントを含めもうとにかくいろんなものが詰まった、フェスの時代のいいやり方だと思う。
たくさんの人に来ていただきたいです。

■大林宣彦(「したまちコメディ映画祭」審査員長):

今日は嬉しくて元気です。国の元気は庶民の力。庶民の元気は笑いから。昔の良さを残し、伝えることが明日の元気につながる。
コメディとは元気に生きるための知恵です。
コメディに限るとどれだけの作品がくるか不安ですが、コメディとは今を生きる人に必要な力だと思う。笑いがなぜ必要かというと、笑いは批評家精神が必要なんです。何かに関して理屈じゃない、庶民の暮らしの知恵の中で、「それちがうぜ、これはこうじゃないか」ということが爆発することが笑いにつながる。作者たちと一緒に、笑いのある未来、笑いに満ちた世界を夢見たいと思っております。喜怒哀楽を通じてより分かりやすくしてくれるのがコメディだと思う。コメディは心を開いてくれる。コメディ映画は文化としての世界、未来づくりに必要。お客さんの心を解きほぐすのは、涙ではなく笑いだと思う。次は笑いを扱った映画を作ってみたいと思っている。

■岸本加世子(「したまちコメディ映画祭」審査員):

参加できたことに感謝しています。下町のびのびとした姿、テンポが好きで、憧れています。すてきな作品に出会えるだろうとわくわくしています。
浅草で、伴淳三郎さん、渥美清さん、北野武など一番影響を受けた、一番大好きな先輩たちに出会って、笑いというもののルーツは間違いなくここにあるので、楽しみです。大好きな先輩の方々、大恩人の方々がはぐくんだ笑いに少しでも浸れたらいいなと思います。

■堀部圭亮(「したまちコメディ映画祭」審査員):

5歳まで台東区に住んでいたので、親しみを感じる。映画祭が盛り上がるよう、精一杯頑張りたい。
池袋のストリップ劇場でコントをしていて、あるとき師匠に笑いは品がないとだめだと言われた。20歳のとき欽ちゃんのオーディションをうけて出演することができた。そこで多く学ばせてもらったことが今の自分にあるすべてといってもよいと思う。笑いが難しいかどうかは別として、笑いは反応が早い。だからコメディに絞ったこの映画祭は面白いと思う。笑いとの縁を感じつつ宿命なのかなと思う。

■吉住弘(「したまちコメディ映画祭in台東」実行委員会会長:

今年は2回目ですが、昨年に比べ期間も会場数も多く取って、多くの皆様方に映画祭を楽しいんで頂きたい。景気も低迷していますし、大いに笑って元気を取り戻して、活力のある台東区にしたい。
将来は国際映画祭にしたいと思っています。コント55号のお二方、萩本欽一さん、坂上次郎さんの活躍があってこそ昭和30年代、40年代の笑いというものがいつまでも思い出に残っている。当時の情景を思い起こしていただければ嬉しく思います。

(Report:Yasuhiro Togawa)