映画祭も終盤を迎え、賞レースの行方が取りざたされ始めた。毎年、映画祭期間中は日刊で映画祭の模様を伝える情報誌が幾つか発行される。英語版の「スクリーン」とフランス語版の「ル・フィルム・フランセ」が双璧だが、どちらも長編コンペティション部門作品の星取り評価表を掲載している。ジャーナリストたちも参考にしている星取り表だが、賞の行方は審査員のメンツ次第。受賞に反映されないことも多い。

◆映画祭のクロージング作品は、伝説のデザイナーの恋を描いた『ココ・シャネル&イゴール・ストラヴィンスキー』

 今年の映画祭の閉幕を飾るのは、天才服飾デザイナー、ココ・シャネルとバレエ音楽”春の祭典”で知られるロシア人作曲家イゴール・ストラヴィンスキーの恋模様を描いた『ココ・シャネル&イゴール・ストラヴィンスキー』(2010年公開)で、監督は『ドーベルマン』のヤン・クーネン。物語はココ・シャネルとストラヴィンスキーの1913年の出会いからその後の交際を描いたもので、ココ・シャネルを演じるのは、”シャネル”ブランドの顔となったモデル、アナ・ムグラリス。ストラヴィンスキー役は、『007 カジノ・ロワイヤル』で敵役を演じたデンマーク俳優マッツ・ミケルセン。当時を再現する衣装には”シャネル”とカール・ラガーフェルドが全面協力している。

◆22日(金)、8年間にわたり”シャネル”のモデルを務め、今回、ココ・シャネル役に抜擢されたアナ・ムグラリスにインタビュー!

 映画祭最終日の24日に、クロージング・セレモニーに続いて上映される『ココ・シャネル&イゴール・ストラヴィンスキー』に主演したフランス女優アナ・ムグラリスにビーチで個別インタビューする機会を得たため、22日の昼、市内の映画館で行われた内覧試写会で作品を鑑賞。その足で取材先のビーチへと向かった。
 アナ・ムグラリスは、8年間にわたり”シャネル”のモデルを務めただけあり、スレンダーな肢体にはえるシンプルでシックな黒のドレス姿で登場。
 独得のハスキーボイスで、ヤン・クーネン監督との仕事について、自分とシャネルの共通点と共感する部分、演じるにあたって気を配ったこと、衣装について等々を驚くほど率直に語ってくれた。
 映画の中で一番好きなシーンは、ストラヴィンスキーの”春の祭典”を劇場で初演するシーンだそうで、デンマーク人ながらもロシア人俳優に囲まれる中で完璧なロシア語で演技したマッツ・ミケルセンを絶賛。シャネルとストラヴィンスキーの関係についても、しっかりと自分の意見を述べてくれた。
 ちなみに彼女が”シャネル”の香水の中で一番のお気に入りは”CUIR DE RUSSIE”。ロシアの皮というネーミングの香水で、女性にも男性にも似合うのよと教えてくれた。
(記事構成:Y. KIKKA)