ベルリン動物園で生まれ、母グマの育児放棄から世界でも例の少ない、人工哺育で育てられたホッキョクグマ・クヌート。その愛らしい姿から、一躍人気者になったクヌートは、同時に地球温暖化や自然破壊への関心を呼び起こすシンボル的存在にもなりました。
北極では野生のホッキョクグマたちが変わりゆく地球環境の中でどのように生きているのか?
絶滅危惧種であるホッキョクグマを守るために、私たちは何をしなければいけないのか?
と考えるきっかけを与えてくれました。
日本の動物園・水族館でもホッキョクグマは毎日元気に過ごしています。
地球のこと、動物たちのことをもっと知るきっかけとなるように、映画「クヌート」の公開を記念して、
7月26日(日)恩賜上野動物園 ホッキョクグマ舎(東園)にて、「クヌート」から上野動物園のホッキョクグマ(ユキオ&レイコ)へ、氷をプレゼントする贈呈式を行いました。ホッキョクグマ舎の前に集まったお客さんは親子連れやカップルなど200人以上。炎天下の中、ホッキョクグマたちが、氷をかじる様子を観察していました。

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<上野動物園のホッキョクグマ>
ユキオ(オス)・・・1987年ドイツの動物園生まれ。体重300kg
レイコ(メス)・・・1983年ロシアの動物園生まれ。体重150kg
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<上野動物園・小宮輝之園長よりご挨拶>
皆さん、こんにちは。昨日から夏休みらしい暑い日になりました。
この上野動物園のホッキョクグマ舎でも、冷気のミストを出したり、製氷機から20分おきに氷を上げたり、と暑い夏を過ごしやすくするために様々な工夫をしています。
ホッキョクグマやペンギンも、暑いときに氷を貰えるのはとても嬉しいことです。
ベルリン動物園で3年前に生まれ、人工哺育されたホッキョクグマ’クヌート’のいきさつが映画になり、昨日から公開されています。今、北極で暮らすホッキョクグマの数はおよそ2万頭。地球温暖化の影響で氷が少なくなると、餌となるアザラシの数は減り、とても生活しにくい状況です。
上野動物園でも、ホッキョクグマを繁殖させるため、来年・再来年と施設を変える予定です。
是非、実際のホッキョクグマを見て、映画を観て、地球の環境について考えるきっかけとなればよいと思います。

<映画『クヌート』マイケル・ジョンソン監督からのメッセージ>
映画「クヌート」が、ホッキョクグマが絶滅の危機にあり、守らなくてはいけないということを日本の皆様にも考えていただけるきっかけとなることを望んでいます。上野動物園で元気にがんばっているユキオさんとレイコさんの姿を見て、まだ遅くはない、まだ私たちにできることはある、ということを考えていきましょう。