7月19日(日)に、港区エコプラザにて映画「クヌート」の試写会及びトークショーが行われました。当日は約150名もの親子連れが参加し、映画を見た後に行われた「ホッキョクグマのこともっと教えて」スペシャルトークと質疑応答で大変盛り上がりました。スペシャルトークでは、本作品の監修を務めた上野動物園の小宮輝之園長、アラスカに1年在住していた毎日新聞科学環境部の田中泰義記者、ミステリーハンターの末吉里花さんが登場。子どもたちと一緒に、動物たちの人工哺育にまつわる議論やホッキョクグマの生態、地球温暖化による環境問題について語り合いました。

<スペシャルトーク「ホッキョクグマのこともっと教えて」>
語り手:上野動物園の小宮輝之園長、毎日新聞科学環境部の田中泰義記者
聞き手:ミステリーハンターの末吉里花さん

■動物の人工哺育について
(小宮園長)人間に育てられると自分を人間だと思ってしまう。クヌートがこれからお父さんになれるか心配。生まれたとき育ててくれたのがトーマスさんだったから、これから奥さんになるメスのクマに会ったとき、ちゃんと反応できるのか。それはこれから動物園が助けていかなくてはいけない。

■映画「クヌート」を見て
(田中記者)この映画では驚いたことがいっぱい。アラスカでは、グリズリー(ヒグマ)はとてもこわい存在だった。クヌートは人間との距離がとても近いので、びっくりした。

■ホッキョクグマやクマの生態について
(小宮園長)野生ではメスとオスは別々に生きている。子どもが出来るとメスは育児のため2〜3年は交尾が出来ないので、オスは子どもを殺してしまうこともある。
映画に出てきた通り、毛の色は透明で空洞。ストローのようになっており、中に空気が入る為、暖かさを保つ。黒い上皮も温度を吸収する役割を持っている。
上野動物園では、月の輪グマのくうちゃんを冬眠させたことがある。冬眠すると何ヶ月も食事をしないため、11Kgも減量して60Kgになった。日本の動物園にいるクマは冬眠しないため、メタボになってしまう。

■クヌートについて
(末吉さん)<7/25OA「世界ふしぎ発見」でベルリン取材に行ったスタッフに聞くと>ベルリンでもクヌートは子ども達に大人気。クヌートも子ども達が大好きで自分のおもちゃのボールを子ども達に投げてくるそう。
(小宮園長)<クヌートが劇中魚の内臓だけ食べていたことについて>一匹ずつあげれば、ちゃんと食べると思う。アラスカとか北海道ではシャケなどを食べるクマなどは、舌が肥えているのでそうなる。クヌートはクロワッサン好きだけど上野動物園のホッキョクグマも食パンが好き。

■子どもたちから小宮園長への質疑応答

Q:野生のホッキョクグマは何を食べるんですか?
A:アザラシ、セイウチなど。一匹全部食べないので、残りはホッキョクギツネやカモメが食べる。温暖化の影響で後30年で北極の氷が溶けてしまうという話があるが、アザラシが少なくなってしまうとホッキョクグマも絶滅してしまう。

Q:ホッキョクグマは目が悪いんですか?
A:顔が長く、長い鼻で遠くの匂いがよくわかる。目が悪い為、事故が起きることも。

Q:笹鳴きについて
A:親もする。笹鳴きが「クマクマクマ・・・・」と聞こえたことから、猟師さんが「クマ」と名づけた。

Q:ホッキョクグマの名前の由来について
A:明治35年に付いた。新潟にいた白い月の輪グマを「シロクマ」と名づけた後に、「Polar Bear」がやってきて同じく白いクマで名前に困ってしまい、そのまま「ホッキョクグマ」と訳して名づけた。

Q:何歳で泳げるようになるんですか?
A:動物園では1歳になる前に泳ぎを覚える。とべ動物園のピースくんは半年で泳げるようになった。日本では早く泳げるようにならないと、夏が暑いので可哀相なことになる。

Q:ホッキョクグマは何年生きるんですか?
A:動物園は30年生きればいい。(野生だともっと短い)

Q:なぜ野生のホッキョクグマを保護しないんですか?
A:現在2万〜2万5千頭いるといわれるが、なるべく野生のものは野生で守っている。よく北の動物園で繁殖が行われ、日本の動物園にやってくることが多い。なるべく動物園同士で貸し・借りをして繁殖させている。(田中記者によると)アメリカでは絶滅を防ぐ為に、2年前より法律で保護すべき動物の中に加えようとしている。