第13回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭のWORLA FANTASTIC CINEMA部門にて、映画『HIGH KICK GIRL!』の主演の武田梨奈、監督である西冬彦が登壇し、舞台挨拶が行われた。

本作の監督:西冬彦は、バイヤーとして映画『MUSA』『ロストメモリー』『私の頭の中の消しゴム』の買い付けを行った経歴もある。さらにアクター、プロデューサーと幅広く多くのことをこなしている。昨年も富川国際ファンタスティック映画祭にて映画『黒帯KURO-OBI』で参加している。

本作では、空手のプロを集め、演技を指導し、ワイヤーアクションなしの【空手】の技術を忠実に描き出した、渾身の作品と仕上がっている。空手アクションの技術の高さには非常に魅了される。この映画ではキャスト陣は空手経験者を集め、演技を指導し作り上げた作品である。そんな主演を務めた武田梨奈は、空手暦8年、関東選手権大会では優勝という凄技の持ち主である。西監督は空手映画を撮るとはいえ、ごっついおじさんを主人公にするだけのは…と考えていた矢先に、梨奈さんを見つけ、「この子だー!」と思い出演に至るようだ。

(西)「今回のキャスティングについて2つの選択がありました。それは、本当の女優さんに空手を教えるか、空手が出来る人に演技を教えるかのどちらかということです。そして、僕は後者にしました。」

今回、武田さんは映画初主演ということで…、
(武田)「小学4年の時から、空手を習っていましたが、映画で顔を殴られるシーンでは、次の日顔が痛くなりました。」と、体を張って本作に挑んだようで、
(武田)「アクションから手を極める女優になりたいです。」
と、今後も女優活動に専念する思いを語った。

この作品では、空手の技をスローモーションに映し出されるシーンが非常に多い。それは、本当に凄い技を行うと、早くて見えないので、それをうまく見せるためにそのような技法で映し出したようだ。

(西)「世界には様々なワイヤーアクションがあります。例えば、香港のカンフーやタイのムエイタイ。そこで、日本では【空手】があるではないかと思い、ワイヤーなしに、日本のオリジナリティーを生かし作りたいと思いました。壊し屋のおじさんが倒れるシーンでは、簡単に倒されているように見えるかもしれません。しかし、それは簡単に倒されているわけではないんです。普通のアクションシーンというのは、長く映し出すことでより面白みを生かせるものだとおもいますが、本当のアクションというのは、一発勝負。一発で相手を倒すのが日本の空手の持ち様だと思ったから、あのシーンはそのようになったのです。」

本作では、顔蹴りというインパクトなシーンがあるが…、
(西)「顔面にけりが入るシーンはとても危険な技なので、ワンテイクで済むように、3ヶ月練習をして撮影しました。今回の撮影では、皆ある程度空手では出来る方々だったので、大きな怪我をするということはありませんでした。」と述べた。

(西)「この映画は、トニージャーと仲良くなり、彼に「是非ともアクション映画を作ってみたらどうか?」と言われてから、会社を辞め制作することになりました。香港もタイでもきっとそうだとおもいますが、すばらしいアクションを作り上げるために何十年も時間はかかってきたと思います。なので、私も長い目で日本のアクションというものを作り上げていきたいと思います。でもやはり女の子の顔を殴るのは決して気持ちのよいものではないので、顔を殴るものはこれで最後にしたいと思います(笑)。」

舞台挨拶途中、武田梨奈と監督の空手の技を披露するなど、観客らを魅了させた。富川国際ファンタスティック映画祭の魅力の一つには上映後に、監督とわずかな時間話しをする機会などがある。映画制作を仕事にしたいという熱い思いを持った若者達にとっての、学びの場ともなっている。

(Report:大倉真理子)