SKIP国際Dシネマ映画祭の長編国内コンペティション部門にノミネートされている映画『カケラ』が上映された。

真面目でおとなしそうな青年、松江がある小さなアパートに引っ越してくる所から物語が始まる。
コンビニで働き、ひっそりと暮らすが、財布を落とした事からナオトというホームレスの少年と親しくなり、部屋で一緒に生活するようになる。さらに松江は道端に酔って倒れていた外国人を自室に連れて行き介抱する。孤独を背負った3人の奇妙な友情が生まれていくストーリーだ。

映画『カケラ』の監督は本作が初長編作品となる村上祐介さん。
「人と人が関係していくこと、繋がっていく事を今という時代に、なんとか肯定したいと思って創った作品」とコメント。

礼儀正しく、心優しい3人は、それぞれ悩みや不安を抱えながら生きていく。彼等は貧しくても、悲しくても、非行や犯罪には決して走らない。お金やセックスや暮らしへの欲望さえほとんど感じさせない。
3人ぞれぞれの”カケラ”を丹念に追った本作は、現在の若者像への強烈なメーッセージとなっている。

上映終了後、村上祐介監督とキャストの松江貴広さん、桑田尚典さん、サイラス望セスナさんが登壇し、観客からの質問に答えた。

■質疑応答■

Qホームレスや酔っぱらいといった、キャラクター設定はどのように決めたのですか?

●村上祐介監督「私が外国へ留学していた時の経験が大きいです。ロバートに関して言えば、留学中の周りの外国人はドラッグやアルコール中毒者のような人が多かったので、それがモデルになっています。」

Q結果的に何も解決していない映画のように感じましたが?

●村上祐介監督「根が暗いので、暗い方に暗い方にいってしまうのですが…。自分のできる限り、人とつながる事は正しいことなんだと、ポジティブなメッセージを表したつもりです。」

Qコンビニのシーンが多いと感じましたが、何かエピソードがありますか?

●村上祐介監督「オーナーがとても協力的な人で、夜中であっても計4日間使わせてもらいました。当初コンビニは、無機質でクリーンなイメージで撮ろうと考えていました。しかし、撮影に使わせてもらったコンビニが地域密着型のコンビニで、野菜なんかも沢山売っていましたので、方向転換して、映画の雰囲気になじませました。」

Qお一人づつ、映画の中でこだわった点を教えてください。

●村上祐介監督「初めての長編作品となりました。セリフの雰囲気については何度も撮り直し、こだわりました。編集の段階では苦労しましたね。」
●松江貴広「土手から転げ落ちるシーンです。あれはとても痛かった(笑)」
●桑田尚典「監督のこだわりについて行こうと思っていました。無謀な事を言わなければ、監督が撮りたいこだわりを表現しようしました。」
●サイラス望セスナ「こだわりは、ちょっと日本語のなまりを加えた事です。監督からは、いつも話す日本語のままでいいよ、と言われたのですが、日本にきて6年目のロバートだったらなまりがあるのではないかと。実際、少しのなまりをつけるのは難しかったです。」

(Report:椎名優衣)