2009年7月13日、月曜日。
短編2の作品が上映され、
『米粒の神さま』の監督・清水和貴、
『電信柱エレミの恋』の監督・中田秀人、
『ぐるぐるまわる』の監督・片岡翔が登壇した。

——『米粒の神さま』
毎朝、パンとご飯という別々のものを食べる新婚カップルの、ある朝食風景。
日常のちょっとした出来事にもある、幸せの瞬間を描いた物語。

清水監督は、「学生の頃からずっと一緒に映画を作っている仲間の結婚を祝うために、本作を作りました。大学で4年間映画を作って過ごしましたが、現在東映の撮影所で録音の仕事をしている友人の結婚式で映像を流すために、かつての仲間で作り始めたんです。
 ただ、よくある‘2人の再現映像’ではなく、作品として真剣に独立したものを企画しました。制作を決めてから2ヶ月、1日で撮影をし、録音は新郎が担当、音楽は作曲家の友人が新しい曲を作りました。おめでたい席に不適切でないように注意しながら、そして2人はこれからの人生で苦楽を共にしていくので、‘価値観の違う2人がお互い選び合い、暮らしていくことが結婚だ’という思いで、認め合い、許し合いながら歩んでほしいというメッセージを込めています」と語った。

——『電信柱エレミの恋』
電信柱の<エレミ>が人間の男性に恋をする物語。
人形アニメーションの温かさが伝わる、胸キュンのファンタジー。

中田監督は、「本作は2001年から作り始め、8年かけて完成しました(笑)。資金をもらって作るような商業的な作品ではないので、4人のチームで、6畳のアパートや病院の病室などで点々と作業していました。本当に1日10〜12時間かけて、日曜日だけ休みをとりながら、大急ぎで作りました。原作については、彫刻科の卒業制作で、なぜか短編の物語を書いた友人がいたんです。それを読んで、いつかアニメーションでやりたいと思っていたものを脚本で書き直させてもらいました。
10時間座って作業し続け、心身ともに落ち込んで帰る深夜2時、3時頃、道端の電柱がなぐさめてくれる感じがしましたね(笑)」と、制作に至るまでの苦労の日々を、笑いも交えて話した。

——『ぐるぐるまわる』
ピーターパンに憧れていた<イノル>の四十九日に、彼の部屋で昔を懐かしむ幼馴染みの2人。
<イノル>の秘めた想いにとらわれ始め、得体の知れない恐怖が広がる物語。

片岡監督は、「本作は楽しみながら作りました。心温まる(『米粒の神さま』と『電信柱エレミの恋』の)2作品の後に、気持ち悪い内容で申し訳ありません(笑)。本作には特に深い意味はありません。‘死んだ人の遺品を探る’という話はよくありますが、その時に心が温まるのではなく、‘亡くなった人の裏の面を知るという面白さ’を描こうと思いました。
 好きな監督は宮崎駿で、本作では部屋の壁に‘ポニョ’に似た女の子の絵を描かせてもらいました。個人的にぬいぐるみが大好きなので、次回作はぬいぐるみをメインに、観客がぬいぐるみに感情移入できるような実写を作りたいです」と話した。

(Report:今井理子)