解散総選挙、そして都議選も迫る選挙イヤーの今夏、2年前劇場公開され話題となった『選挙』が復活!小泉政権まっただなかの自民党公認候補の“どぶ板”と呼ばれた知られざる選挙活動の模様を「観察映画」なる独自のドキュメンタリー手法で捉え、日本の選挙の実態をつぶさに捉え、世界中に笑撃を与えた想田和弘監督。最新作であり「観察映画」の第2弾である『精神』(こちらも世界中の映画祭で受賞、話題となっている)がシアターイメージフォーラムで上映中の中、今年4月、アメリカの放送界で最も権威ある賞とされるピーボディ賞を『選挙』が受し、奇しくも選挙に右往左往する日本の政治のどまんなかで劇場再公開が7月4日よりスタートする。

6/30は渋谷ライズXにて『選挙』特別上映&トークイベントが開催され、本作の主人公であり、自民党公認候補として市議会議員の補欠選挙として縁もゆかりもない川崎市から出馬させられることとなった“山さん”こと山内和彦さんと、“山さん”奔走ぶりを朝から晩まで徹底して追いつくした想田和弘監督、そして、自身も当時の小泉政権下で広島6区から自民党候補として出馬経験をもつ“ホリエモン”こと堀江貴文がスペシャルゲストとして登場した。

“山さんの選挙はいいなあ”と堀江さんは自身の選挙活動を振り返った。山さんのように完全な自民党公認候補ではなかったため、無所属で活動するには色々と不自由や敵対するライバルからの妨害も多かったと語る。選挙初体験なのは自分ひとりだけで、自民党の力でかき集められた後援会のメンバーたちは、なんども選挙の紆余曲折を戦ってきている、いわば百戦錬磨の集団。候補者といえども、できあがった組織の中に一人未経験者がぽつんといて右往左往するつらさはお互い共通して実感していたと漏らす。
しかし当時は時の人“ホリエモン”の出馬とあって、

『選挙』で描かれる日本の選挙制度の滑稽さ、政治の誠実さとは無関係に組織力と努力がものを言わせる選挙制度ひいては政治の不可解さにも繋がる面をとらえた本作。
選挙経験者の堀江さんが思う“日本の選挙制度、俺ならこう変える”とは?
「まずインターネット投票の解禁。」選挙投票率の大半が40代から上の高齢者たちの投票が左右していることから、もっと若い人たちが投票しやすくなるべきと指摘。
また「タレント議員の出馬」という意外な意見も。「都知事も大阪府知事も元々はタレントのような仕事をしてた人たち。そういう彼らが実際政治家についていても全然間違ったことにはなっていない。タレント出身は政党のしがらみがない分本当に自分がやりたい政治を思い切ってやれる力があるはず。吉本のお笑い芸人さんが出馬すれば事務所挙げて応援すればすごい組織力になるんですよ。」といささか強引ながらも斬新な提案。
「大事なのは既存のしくみをいかに壊すか。クラッシャーが必要だと思う。」と。また自身の出馬当時も小泉さんの発言“自民党をぶっ壊す”に大きく影響を受けたことも明かした。(結局変わらなかった、とも付け加えましたが)
ここでしか聞けない、興味深い内容が飛び出した『選挙』トークイベント。まず私たち有権者が選挙に関心をもつことが大事だと最後にアピールした。まずは都議選から。

(Report:綿野かおり)