元ギャル社長と民主党参議院議員が日本の農業を語る!!

6月24日、映画『未来の食卓』の監督ジャン=ポール・ジョー氏と元ギャル社長の藤田志穂さん、民主党参議院議員のツルネン・マルテイさんによる記者会見が東京日仏学院にて行われた。

<登壇者>
★ジャン=ポール・ジョー監督
自らがガンを患ったことにより、「食」についての関心を高める。現在、フランス、北米、日本を舞台とした本作のパート2を準備中。日本では福岡のあいがも農法を撮影した。

★藤田志穂さん(元ギャル社長)
19歳で起業しシホ有限会社G-Revoを設立。ギャルの特性を活かしたマーケティング業務を特化し、様々な商品開発やプロモーションを行う。さらに自ら積極的に環境問題やエイズ予防も行なっている。そして2008年12月に社長を引退し、現在は食や農業についての活動をスタートした。若者が食や農業に興味を持つキッカケを作るため「ノギャル」プロジェクトを立ち上げ、秋田県での「シブヤ米」作りや、イケてる農作業着企画など様々な角度からプロジェクトを展開中。

★ツルネン・マルテイさん(民主党参議院議員)
有機農業推進議員連盟の設立を呼びかけ、現在超党派の国会議員168名の参加を有して事務局長として中心的な役割を果たす。元フィンランド人、1979年日本人に帰化。

–今回二度目の来日となりますが、日本の印象はどうですか?

ジャン=ポール・ジョー監督:私が日本に来る前は黒澤明監督の国という印象がありました。実際に来てみて、日本は本当に美しい国だと思います。美しい自然と温暖な気候でまさにフランスと同じような感じがします。また、日本はフランスと同様に素晴らしい歴史がありますし、この地球の中でも最も洗練された国だと思います。それにも関わらず、なぜ今日本が切腹をしようとしているのか、自ら命をたとうとするのかがよくわかりません。

–本作はフランスで大ヒットし、社会的なムーブメントを巻き起こしたそうですが、どのような反響があったのでしょうか?

ジャン=ポール・ジョー監督:この映画は単館のみの上映だったのですが、7ヶ月で約30万人の動員がありました。環境問題に関心のある人や組織の人たちが「ありがとう。こういう映画が必要だったんだ」と言ってくれました。それから次第に、環境問題にさほど関心のない人にまでもクチコミでこの映画の評判が伝わっていきました。有機じゃない普通の農業をやっている方や業者の方も観にきてくれ、「ありがとう」とお礼を言ってくれました。また、上映後のディスカッションで若い女性が「環境問題に苦しんでいるのは私一人ではないのをこの映画が教えてくれた」と泣いていました。そのように感動してくれたのは彼女だけでなく、会場の皆さんも感動してくれました。

<会場からの質疑応答>

–フランスの美しい風景と音楽がとても印象的でした。映像と音楽へのこだわりがありましたら教えてください。

ジャン=ポール・ジョー監督:この映画は人々に問題を知らせるためにつくった映画です。ただ、それは同時に自然に対するオマージュであり、人生にも対するオマージュでもあります。だから私はフランスの美しい風景を撮りたかったんです。映画は今最も必要な芸術であり、素晴らしい力があると思っています。なぜなら映画は美しい自然や音という魅力を最大限に伝えることができるからです。曲をつくってくれた音楽家のガブリエル・ヤルドは二度もオスカーを獲った素晴らしい作曲家です。

–さきほど監督が「日本が切腹をしようとしている」と言われたのですが、具体的に何をみてそう感じたのですか?

ジャン=ポール・ジョー監督:切腹をしようとしているのは日本だけに限らず、産業が発達しているすべての国に言えることです。日本は国の遺産である素晴らしいものを壊そうとしているし、地球の遺産も壊そうとしています。サンテクジュペリなど多くの方が言っている、”この地球は私たちのものではない。私たちはこの地球を子供たちのために借りているんだ”という格言があります。日本では残念ながら、子供たちに伝えるべくいろいろな遺産を壊しています。また、日本を含む先進国では毎日子供に食べ物を与えると同時に毒を与えています。そして温暖化に対しても大きな責任があります。今のままでは、日本がこれまで培ってきたものは明日にでも壊れてしまうでしょう。

–日本の合鴨農業を取材したそうですが、感想を教えてください。

ジャン=ポール・ジョー監督:日本では子供を持つお母さんたちが30年前からいろいろな運動をしています。そのひとつが「提携」といわれる農業で、農家や生産者と提携して直接食べ物をもらうというグループなんですけど、これは日本だけでなくフランスやアメリカにも広がっています。生産者の方でもこういった汚染や環境問題に熱心な人がいます。その人がやっている農業は、生物多様性の保存について考えていて、それを守るために非常に有効な農業です。地球環境を守るのはもちろんですが、それが経済的にちゃんとペイできるのを証明しています。

–映画を観た感想をお聞かせください。

藤田志穂さん:観たとき、率直にすごい難しい問題だとわかって、私自身理解するのが結構大変だったんですね。でも逆に、食べ物にはいろいろなものが入っていることを知ったときに、「もっと考えないといけないな」と思いました。若い人たちがそういうことを考えるきっかけが少ないので、映画として踏み込みやすい部分で観られることはいいですね。言葉で有機野菜、オーガニックと言われても若い人にはピンとこないので、私も農業でちゃんとした情報を発信していけたらと思っています。

ツルネン・マルテイさん:本当に感動しました。私は今まで有機農業についての映画を何本も観ていますが、その中で一番感動を与えてくれた映画です。有機農業に関心のない人にも是非観てほしいです。健康を維持するためには、食=有機は最もよい薬であるということ、それがこの映画には非常によく表れています。また、みんなで話し合いながら給食に有機農作物を使うということは素晴らしいことだと思います。

–監督から皆さんにメッセージをお願いします。

ジャン=ポール・ジョー監督:一人一人の方に今すぐアクションを起こしてほしいと思います。みなさんが非常に環境に対して意識的であると思うし、今はそれを行動に移すべきだと思います。リオデジャナイロのファーストサミットで、ある女性の言葉が非常に印象に残りました。「各国のリーダの方々、言葉だけではなく行動を起こしてください」。まずは、今日からアクションを始めてください。