標高3000メートル超、最低体感温度:氷点下40度。そんな山での撮影では、200日超!!。かつてない過酷で厳しい撮影を終えて、映画『劔岳 点の記』が20日、全国310館で初日を迎えた。東京・銀座の丸の内TOEI①で舞台あいさつが行われ、監督 木村大作、浅野忠信、香川照之、、仲村トオル、松田隆平そして、宮崎あおいが登壇した。

キャメラマン50作品目にして初監督作品の木村さんは、「9時半に映画を見に来る神経が分かりません!!。」と毒舌ぶりを発揮しながらも「今、山を上り、降りてきた皆さん・・・皆さんは”仲間”です!!本当に、本当にありがとうございました。」と感無量の様子であった。
静かに燃える主人公”柴崎芳太郎”を演じる浅野さんは、「やっとこうやって初日を迎えられてとても嬉しいです。たくさんの人に映画を見て頂いて、本当に幸せです。この映画を通していろいろ学ぶ事ができました。この経験を生かして、これからも頑張ります。今日は本当にありがとうございました。」と挨拶。
”この人がいたから道ができた”測量隊案内人宇治長次郎演じる香川さんは、「今日は本当に有難うございます。舞台袖で待っている時に・・・毎日毎日繰り返し見ていた”劔岳”が後ろにずっとあるような気がして・・・この映画は“劔岳”その物が見守って下さると強く思いました。・・・この映画は、必ず輝かしい歴史に残り、記録に残り、私達スタッフ・キャストが命がけで撮影を行ったかけがえのない姿を絶対後に残す!と確信しています。どうか一人でも多く見て下さい。」と目を潤ませながら挨拶。
柴崎の助手を務め、徐々に仲間との絆を深めていく青年生田信演じる松田さんは「二度とない一瞬を切り取ったそんな映画を撮った木村大作さんの作品に出れて幸せです。ありがとうございます。」と挨拶。
監督が唯一怒らなかった柴崎芳太郎の妻柴崎葉津よ演じる宮崎さんは、「私はほんの数日間の参加でした。けれどもこんな風に皆さんと舞台に立たせてもらう事をすごくうれしく思っています。」
主人公のライバル小島鳥水演じる仲村さんは、「この順番だと挨拶する言葉が残っていないのですが、この傑作に絡む事が出来て嬉しく思っています。小島鳥水という役柄ですが存在感が”薄い”と言われないように一生懸命頑張りました。今日はありがとうございました。」

監督は”公開の日を迎えた”事について聞かれると、「難しい質問ですね。。。」と言いながらも、「実は、最後まで行けないんじゃないかと・・・。」と本音を漏らした。
キャスト達には”私と木村大作”について聞かれると、浅野さんは「特に山に入ってからが過酷でした。毎日21時には消灯。朝約4時に起きヘッドライトをつけ、山に登る毎日が繰り返され、そんな中で自分を見つめるという時間もありました。監督は正直に向き合ってくれて、ある夜眠れない時に、監督が煙草を吸っていて、最初の時期は、毎日のように眠れず、煙草を吸っては次の日の事を考えていたようなんですけど、その日は、どうしても自分の事を聞いて貰いたく、話すととても熱心に聞いてくれて、ヒントも頂いたりして、それが今までにない事だったので非常に有難かったです。」と感謝を述べていた。
香川さんは「この映画についての事などで、大ゲンカとまではいきませんけど、喧嘩をして、その意味でこれだけ深くかかわった方はいないなと思うんですね。そういった意味で父親のような存在でした。」と意外なエピソードを明かしてくれた。
宮崎さんは「すごくやさしくしていただいて、これから先、大作さんに気にしてもらえるような役者でいたい」。満席の観客の前で宮崎さんから”大作さん”と呼ばれている事について聞かれると木村監督は「僕も男ですからクラクラッときます」と会場を笑わせた。

(Report:長島美秋)