ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2009のグランプリ受賞作品『SR サイタマノラッパー』。
3月14日池袋シネマ・ロサにて劇場公開されるや、同劇場の初日動員数字を塗り替える大ヒットを記録し、
その後も名古屋、北海道、仙台ほか全国公開が続く中、6月20日より渋谷・ユーロスペースにて東京アンコール上映がスタートした。
レイトショーという時間帯にも関わらず、客席は満席状態。上映後、入江悠監督、映画ライター・三留まゆみさんによるトークイベントが行われ、盛況の会場を盛り上げた。

「地元の埼玉・深谷市で撮影したんですが、“地元をバカにしている”と反発されたこともあったんですが、でも映画の中で描いたことは自分が十代の時に地元にいて感じていたことなので、それを美化して映画にするは違うかなぁって思いました。」と入江監督。三留さんは「この作品を観て、色んな人が自分を投影すると思う。登場人物の中でも男の子はずっと同じままだけど、女の子は彼らよりもいつも1歩も2歩も先をいっちゃってる。でも男の子は大人になっても男の子はずっと男の子のまんまでいられるっていうのは、女子から観てとても羨ましく思えた。」と絶賛。
また来月にはゆうばり映画祭の姉妹映画祭である、韓国・富川国際ファンタスティック映画祭で招待上映されることも発表。日本からは他に『少年メリケンサック』や『余命一ヶ月の花嫁』などメガヒット大作とともに上映されるのだが「すごい映画にはさまれちゃって、それだけでもかなりアウェイだと思いますが、頑張ってきます!」と意気込みを語った。また、「『SR サイタマノラッパー』じゃ外国人には通じないので、インターナショナルタイトルを”8000meiles”に変えた。」と監督が発表するや会場は大爆笑。もちろんアメリカのヒップホップスター・エミネムの主演作『8Miles』に向こうをはってのこのタイトルなのだが、実際に埼玉からアメリカの西海岸までどのくらいの距離があるか、Googleマップで調べたところ、ちょうど8000マイルだったというから驚きだ。

また3月のゆうばりグランプリ受賞時、シーズンオフの為に贈呈できなかった、グランプリ副賞商品の“夕張メロン”。ようやく出荷時期を迎えたこともあり、ヒットを記念して採れたての夕張メロンの贈呈式が壇上で行われた。
ゆうばり映画祭では2008年よりスカパー!とタッグを組み、グランプリ監督に200万円を授与し次回作制作支援を行い翌年の映画祭でプレミア上映するという若手作家の支援・育成を行っている。入江監督もすでに次回作の準備に入り、2010年のゆうばり映画祭を目指し夏から撮影をはじめる。

イベント終了後には、夕張リゾートより提供された夕張メロンゼリーが来場客全員に無料配布され、監督同様にお客さんも夕張メロンの豊潤な香りと味を堪能した。

『SR サイタマノラッパー』は6月20(土)〜26(金)渋谷ユーロスペースにて1週間限定レイトショー、連日ゲストを迎えてのトークイベントも予定されている。

6月20日(土) ゲスト:三留まゆみさん(ライター/イラストレーター)
6月21日(日) ゲスト:森直人さん(映画評論家)
6月22日(月) ゲスト:宇多丸さん(Rhymester/ラッパー)
6月23日(火) ゲスト:渡辺ペコさん(漫画家)
6月24日(水) ゲスト:切通理作さん(文化批評)
6月25日(木) ゲスト:久住昌之さん(漫画家)
6月26日(金) ゲスト:スタッフ&キャスト舞台挨拶

(Report:竹尾有美子)