街に出よう。映画館で観よう。
映画館大賞
全国の映画館スタッフが選ぶ、2008年にスクリーンで最も輝いた映画

3月31日に、北は北海道から南は沖縄まで、映画館スタッフの投票によって決まる初の映画賞「映画館大賞」の2008年度ベストテン作品が発表されました。5月22日〜29日にはユーロスペースにて、ベストセレクション作品をトークイベントつきで特集上映しております。全国の映画館スタッフたちが「ぜひスクリーンで観てほしい」と熱い思いを込めて選んだ作品たち、スクリーンで最も輝いた映画たちのアンコール上映に、続々と豪華ゲストの参加も決定し、5月25日(月)夜には映画館大賞で第5位となりました『トウキョウソナタ』の黒沢清監督がトークイベントに登場! 人気の黒沢監督だけにいつもより若い女性の多い観客を前に、全国の映画館スタッフから届いた質問に、思いを交えて語ってくれました。

5月25日(月)  ユーロスペースにて
『トウキョウソナタ』 上映(第5位作品)  トークゲスト:黒沢清監督

「僕が映画を撮り続けている理由は・・・」黒沢清

「『トウキョウソナタ』を初めて一般の方に観ていただいたのは、去年のカンヌでしたから、出来上がってから1年間この映画と一緒にやってきましたね。もうDVDも出ているのに、劇場に観に来て下さってありがとうございます」と丁寧な挨拶から始まったトークイベントでの談話を紹介します。

*2008年のベスト映画は?
「デヴィッド・クローネンバーグの『イースタン・プロミス』です。それとあまり情報を知らずに観に行った『クローバーフィールド』がとても良かったです。それから『TOKYO!』。中でもレオス・カラックスの『メルド』はものすごく面白かったですね」

*ここで映画を撮りたいな、と思う場所はどこですか? 
「日本だと函館は結構好きですよ。2、3回ほど行きましたが、殺人が起こりそうな雰囲気があります。函館の方にそれを言ったら「でしょ?」と言われましたよ(笑)。表面はきらびやかですが、さびれた場所も残っていたりして、とてもいい感じがします。表の面と裏の面が隣り合っていて、一歩通りを隔てると様相が変わるところが、映画になりそうな感じがしますね」

*映画館体験について
「昔は、2本立てがあってこっちがメインのつもりで行ったらもう1本が良かったというようなことがよくありましたね。たった1回しか観ていなくても鮮明に覚えている映画というのもあって、それだけ集中して観ていたんだと思います。僕にとってはベルトルッチの『暗殺の森』がそうで、カット割りからなにから全てを覚えていましたね。20年くらいたってリバイバル上映でもう一度見直したときに、本当に覚えていたとおりで驚いたくらいです」

*なぜ僕が、映画を撮り続けているかというと・・・・
「いまだかつて誰も見たことがない映像を撮るのは難しいですが、可能な限りそういう映像を撮れたらと頑張っています。観る人が「こんな映像見たことがない!」と驚く瞬間というのは、僕にとって映画の基本ですね。それがあるから映画って面白いし、撮っていてワクワクします。観る時も、そんな瞬間に出会えると本当に幸せを感じます。(『トウキョウソナタ』を観る人に)東京に住むごく普通の人々のごく普通の物語ではあるのですが、ところどころハッと驚く瞬間があるはずなので、そういう瞬間が来るのを楽しみにしていてください。そして「こんなカットよく撮れたな」と呆れてくれたらうれしいです」

短い時間ではありましたが、黒沢監督の映画愛を感じる暖かなトークイベントでした。

●映画館大賞の特集上映は、連日日替わり豪華ゲストをお迎えして5月29日までユーロスペースにて開催しております(詳細は上記HPをご覧ください)