〜本年度アカデミー賞ドキュメンタリー部門受賞〜
空に、夢に、近づきたかった。
1974年、ニューヨーク、ワールド・トレード・センター。
人生を賭けた綱渡り。美しき自由の伝説。
『マン・オン・ワイヤー』
伝説の綱渡り師フィリップ・プティ氏が来日記者会見を行い、街頭でサプライズパフォーマンスを行いました。

<会見内容>※P=フィリップ・プティ

Q 日本で今後綱渡りをやる予定は?
P まだない。でも世界中どこにいても、どこにワイヤーを張るか考えながら歩いているよ。美しい綱渡りがしたいので、東京都知事から電話があることを祈っている。巨大なビルに挑戦してきたが、東京では大きな建物じゃなくて、あまり高くないビルを選んでやりたい。

Q 高い建物の間を渡ったときに頭にあったのは?「何もないところに全てがある」という言葉が私には浮かんだのですが。
P WTCの間を歩き始めたときは、無に直面していた。でも満たされた無だった。6年間夢見てきた結果だった。早くやりたくてしょうがなかった。怖い気持ちはなかった。僕の本の中ではWTCでの綱渡りについて、「無に見えるが、全てが存在する」と書いた。美しい質問をありがとう。

Q 今は昔のようにゲリラ的に綱渡りをやらないのですか?街中で突然衝動が沸くことは?
P 確か4〜5歳からそんな本能があった。6歳のときから鏡の前で手品の練習をし始めたんだ。夕ご飯の時間さえ惜しかった。トランプが消えるマジックを、本を読んで何週間も練習して習得した。そのときから反抗精神が芽生えて、みんなが行く方向には行きたくなかった。未だに反抗精神はあるし、これからも衝動が起こればやっていきたい。今からどんなふうに練習していたか、実践してみせるよ。(といって、トランプを取り出し、マジックを披露してくださいました)

Q 自分は映画を観て勇気をもらった。これから考えていることはありますか?
P まず、ジャグラーとして完璧を期すこと。そして綱渡り師として挑戦すること。今一番考えていることは、イースター島。モアイのお腹あたりをワイヤーでつないで、神々に守ってもらいながら、渡るのが夢だよ。地元の人が音楽を演奏し、民族衣装で踊る中、綱を渡りたい。

Q 最後に若者にアドバイスを!
P 「やっちゃいけないっていう人の意見は聞くな!」ってことだね(笑)

プティ氏は、「求めてはいるものの、完璧は不可能である。」と語りました。
でも、せっかく来ていただいた皆様に不可能を可能にする場面を見せてくれました。
バランスをコントロールして…花の神が僕といるならば…とつぶやき、バラを鼻の頭に乗せて、3秒間、静止!!!
会場のマスコミ&スタッフからは、大きな拍手がわきあがりました。今年で還暦になるプティ氏、今でも現役で、毎日3時間トレーニングを欠かさない、人生の綱を渡るアーティストでした。