映画「60歳のラブレター」(5月16日公開)のイベントとして、日本初の「婚活試写会」を行いました。
本作品が長年連れ添った夫婦の絆を描いた物語となっていることから、昨今注目されている「婚活」と組み合わせることによって、未来の夫婦像・結婚観などを考えるきっかけになればと思い、今回のイベントを企画いたしました。
イベント内容としては、映画の試写会、ゲストの白河桃子先生の「婚活レクチャー」、そして実際の婚活パーティーを実施いたしました。当日は600名もの応募の中から選ばれた約80名の男女(男女比率はほぼ半々)が集まり、会場は熱気に包まれました。最後のパーティも映画にちなんだクイズやゲームを取り入れたことから盛り上がり、参加者の方々の中には最後に連絡先を交換する人の姿も見えました。
以下に白河先生の婚活レクチャーと、先生へのインタビューを行いました。

【婚活レクチャー内容】
Q.映画「60歳のラブレター」の感想をお願いいたします。
この映画は熟年夫婦の結婚の様々な形を描いた映画。個人的には、井上順さんのカップルが一番感動しました。働くかっこいい大人の女性が、恋人の娘さんに本気で相対している所では涙がこぼれました。最近は完璧な結婚を望んでいる方が多く、本日取らせて頂いたアンケートの結果をみても失敗する結婚ならしない方が良いという方が多いですが、夫婦は山あり、谷ありの先に到達するものがあるという事を信じさせてくれる非常に良い映画だったと思います。

Q.孝平(中村雅俊)とちひろ(原田美枝子)夫婦について
この2人は“役割夫婦”ですね。男が仕事に邁進し、女性は家庭を守る。役割があるので会話がなくても、20年、30年と持つ。恋愛感情での結婚ではなく、30年たって初めて向い合えた夫婦だと思います。ただ、これからの結婚はこのように役割がきっぱりとは分かれないので、日頃からコミュニケーションをとって役割をすり合わせるのが重要です。

Q.正彦(イッセー尾形)と光江(綾戸智恵)夫婦について
この2人は、音楽という共通の趣味を持っている“友達夫婦”。これからの結婚の形に一番近い夫婦だと思います。でも実は、団塊世代の夫婦に対する調査では、共通の趣味を持っている夫婦が25%しかいないんです。ちなみに、団塊ジュニア世代でのアンケートだと50%。何か共通の趣味があるという事は、夫婦関係を維持する上でとても重要なことです。

Q.静夫(井上順)と麗子(戸田恵子)のカップルについて
最近はアラフォーの結婚が非常に多くなっていますが、麗子はアラフォー女性の典型。
いつでも結婚、恋愛はできるという象徴だと思うし、年齢差も男が必ずしも年上でという事ではなくなってきています。しかし、子供を産むというのには年齢的な限界があります。私が婚活を推奨しているのにはそういう理由もあるのですが、恋愛や結婚自体はいくつになってもできます。

Q.婚活で重要な事とは?
受け身な状態では、なかなか結婚できません。専業主婦志望の女性に、男性は若干引き気味ですので、女性はぶら下がらないこと。逆に男性に気をつけて頂きたいことは、現代の女性は稼いで家事もしている方が多いので、家事も育児も一緒にやっていこうとする姿勢を見せる事が非常に大事です。もう1つアドバイス出来る事は、人に会った時に、私に何をしてくれるかという目で見ずに、相手に何をしてあげられるのかを考える事。受け入れる心を、特に女性には大切にして頂きたいなと思います。また、恋愛体温が下がっている人は、斜めな目線で相手を見てしまい、なかなかうまくいかないことがありますので、ときめく心を大切に。恋愛と婚活は決して対立するものではありません。

【参加者からの質問(事前アンケートによる)】
Q.結婚した方が良いですか?
映画「60歳のラブレター」の中の団塊世代は95%が結婚している時代ですが、今は微妙な時代。しかし個人的な見解としては、結婚は一度はした方が良いものだと思います。ただし完璧な結婚を求めているとなかなか難しいので、一回はしてみるもの、という感覚でいた方が良いかもしれません。

Q.婚活しすぎたせいか、疲れてしまい成果があがらないのですが。
一回休んでみてください。そしてまた始めてみてください。婚活から結婚するまでは、平均2年半くらいかかります。5,5か月〜1年で定期的にあったり、お付き合いする段階の方が出来ると思います。

Q.1〜2回のデートで後が続かないのですが。
続かない原因がどちらにあるのかはちょっとわからないのですが、男女ともに言える事は、3回は会う事を目安にしてください。また男性の方にお願いしたいことは、最初の一回、例えばスターバックスのコーヒー1杯だけでもおごってあげてください。そこだけで損をしている方がいます。

Q.婚活をしなくても幸せをつかむ人はどういう人ですか?
今は婚活時代なので、ラッキーな人です。婚活中だからといってお見合いパーティに行く必要はありません。心構えだけで良いのです。受け身の姿勢ではなく、デートは積極的に行くようにしてください。

Q.草食男子にドキドキしないのですが。恋愛感情よりも条件を優先するべきでしょうか。
安定とドキドキは相反するものです。草食系男子に魅力を感じない方は残念だなと思いました。ドキドキ夫婦が30年持つかはメンテナンス次第ですね。どちらを優先しても良いと思います。

Q.最後にパーティにあたってのアドバイスを一言。
もう一度会いたい方がいたら、女性は男性にはっきりと伝えてください。男性ももちろん積極的に。男性は1歩前に、女性は2歩前に出るくらいで丁度いいのではないかなと思います。

【白河先生へのオフィシャルインタビュー】
Q.「60歳のラブレター」を見ていかがでしたか?どのカップルが良かったですか?
3カップルいたのが良かったと思います。特に井上順さんの大人の不器用な恋愛が良かったです。

Q.婚活試写会という初めての試みでしたが、いかがでしたか?
普通の合コンよりも○○合コン、のような共通体験型の合コンが良いと思います。共通の話題があると、スタートを一緒に切れるのでコミュニケーション能力の差が見えにくいですよね。成功じゃないでしょうか。

Q.ラストシーンで意見の分かれる映画ですが。先生は?
女性は30年経って遅いわよ、という感情を持つかも知れないが、この映画のラストはこれでありなのではないかなと思います。男性は定年後など、これから一緒に旅行とかをしたいが、女性はこれから自由になりたいという感覚の違いがありますよね。
映画の二人(中村雅俊・原田美枝子)は、新たに結婚したような気持ちで改めて臨めるのではないかと思います。かっこわるい、挫折を引き受けて、すべての価値観が否定された。この結末はそれがあってこそなので、良かったんじゃないかと思います。

Q.婚活のアドバイス。この映画から学ぶところがあれば。
完璧に幸せな結婚の仕方を教えてくださいと聞かれることがありますが、多分それは存在しないもの。しかし、パートナーと2人で作っていく幸せな関係はあるんじゃないかなと思います。
これからは、共働きじゃないと生活を支えられない。でも先輩世代はうまく共働きできていない。女性ばかり大変になってしまっているので、これからの世代は2人でうまくやっていかないといけない。この不況が逆に結婚観を変えるチャンスかもしれない、と思います。

Q.婚活に疲れた女性へのアドバイス
形になるまで2年間、婚活をしていても、運命の人が急に現れるわけではありません。2年たっても結果が出せない人は、その先続けてもうまくいかない事が往々にしてあります。
そういう方は結婚観に無理があるかもしれないので、自分の中の条件を見直してみる事が必要かもしれません。結婚観を払拭できた人から、逆に結婚という結果が出るかもしれないし。後は、少し休んでみても良いと思います。

【白河桃子氏プロフィール】
東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。ジャーナリスト&ライター。「AERA」、「日経ビジネスアソシエ」、「プレジデント」、他多数女性誌に執筆。女性たちの年代別ライフスタイル、未婚晩婚、少子化、働く女性のインタビューがテーマで、結婚情報サービス業界の取材では第一人者。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活(結婚活動)」を提唱し、共著の「婚活時代」(ディスカバー21)が14万部のヒットに。「婚活」は2008年度流行語大賞にノミネートされるほど世の中に影響力を持つワードとなり、今日も注目されている。
【主な著書】(2008年)
●ディスカバー社「婚活時代」 山田昌弘氏との共著
●日本経済新聞出版社「キャリモテの時代」
●日経BP社「跡取り娘の経営学」
●メディアファクトリー社「結婚氷河期をのりきる本!」 文:白河桃子、漫画ただりえこ