『子ぎつねヘレン』の河野圭太監督の3年ぶりの新作映画、『ぼくとママの黄色い自転車』完成披露試写会が4月28日、新宿バルト9にて行われました。

登壇者:武井証、阿部サダヲ、鈴木京香、安部美央、アン(ジャック・ラッセル・テリア)、井口喜一プロデューサー

——この作品に参加されてどんな思い出が残りましたか?
武井「小豆島に行った時にすごく暑かったんですけど、(犬の)アンちゃんがいてくれたからすごく涼しく感じて、とても楽しかったです」

——脚本を読んでどんな感想をお持ちになりましたか?
阿部「すごくどきどきしました。自分も子どもを持つ親であるので、(子どもが)一人で旅をするのは本当にドキドキします。すごくいい映画に仕上がったので、この作品に出られてよかったです」

鈴木「本当にいいお話だったので、ぜひぜひトライさせていただきたいと思いました。実際撮影に入ったら武井くんは本当に愛らしいし、アンちゃんといっつも仲良くしてて、楽しく撮影できました」

——この作品を映画化するにあたっての経緯をお話ください 
※原作は新堂冬樹「僕の行く道」
井口「一緒にプロデュースした東映の木村(立哉)さんからお声をかけていただいたのがきっかけです。少子化や家庭での殺人など問題が多い世の中で、一度真っ向から家族というテーマで映画を作りたかった。結局お披露目まで足かけ3年かかってしまいましたが、いい映画を作ることができました」

——キャスティングもこだわったと思うのですが?
井口「まず最初に雰囲気的に鈴木京香さんの優しいお母さんで決まりました。
次に武井くんは以前出ていた『いま、会いにゆきます』で愛くるしさとナイーブさが出ていて決まりました。
それで少年が大きくなったにも関わらず、どうしても本当のことを言えない父親役は、このうじうじさを誰にやってもらおうかすっごく悩みましたが、お母さんが姉さん女房という所で年の差なども考えて阿部サダヲさんにお願いしました」

——映画初主演で不安になったことやドキドキしたことがあったのではないですか?
武井「大志くんはとても勇気のある男の子の役だったので、自分にはないものを持っていたので、演じているうちにどんどん楽しくなっていきました」

——思い出に残っている撮影場所はありますか?
武井「小豆島です。オリーブの木に今まで見たことないくらいの数のセミがいて、とてもびっくりしました。一本の木に50匹くらいはいたと思います」

——撮影中に支えになったことはありますか?
武井「自分より他の人の方が大変だなぁと思ったので、自分だけじゃないと思って頑張りました」

——共演者の方との思い出を教えてください
武井「阿部さんは初めて会ってすごく緊張したんですけど、すごく優しくて、よく話しかけてきてくれたりしてとてもうれしかったです」
阿部「僕はどうすればそんなにいい子になるんだろうってきいたりとか、セミが鳴くと撮影が出来なくなってしまうので、武井くんと水鉄砲をセミにかけたりしていました」

武井「鈴木さんはすごい冷静な人というか、でも話しかけてくれたりとか、コミュニケーションとろうとしてくれてとてもうれしかったです。ありがとうございました」
鈴木「本当にしっかりしていて、賢いなぁと思いますね。本当に頑張り屋だったので、スタッフもみんな武井くんのために頑張ろうって気持ちになっていました」

——阿部さんの役はいつもと違って非常に落ち着いている役でしたが?
阿部「こういう感じの役は経験がなかったので、オファーが来たときはびっくりしました。でもね、普段は落ち着いているんですよ(笑)なので結構地に近い感じもあったと思います」

——自身も父親であるので、共感するところも多かったのではないですか?
阿部「そうですね。どうしても子どもってママの所に行っちゃうじゃないですか。なのでパパのことも思い出して欲しいなってすごく思いました」

——今回は鈴木京香さんと夫婦役でしたがいかがでしたか?
阿部「よく街で歩いていると「お前とそれか!」っていうカップルよくいるじゃないですか。なのである意味リアルだったんじゃないかと思います(笑)」
井口「それを狙ってました(笑)」

——鈴木さんは阿部さんとの共演はいかがでしたか?
鈴木「阿部さんはとても優しい方で、私が子どもと別れてしまうときなどすごくつらいシーンがあったときは、待ってくれているような方でした。私の方がすごく年上に見えてしまうんじゃないかってことばかり気にしていました(笑)でもとても楽しめたので、またご一緒したいなと思っています」

——鈴木さんの役は障害もあって難しい役どころだと思うのですが?
「監督から「武井さんと同じくらいの子どもたちが楽しんで見てもらえる作品にしたい」と言われたので、病気のつらさよりもとにかく子どもを愛しているという気持ちだけを感じてお芝居することが大事かなぁと思って演じました」

——犬のアンちゃんとはどうでしたか?
武井「最初はエサを持ってても近づいてくれなかったんですが、だんだん仲良くなって、あるシーンで「アンおいで」って言っても来ちゃいけないシーンがあったんですけど、寄ってきてくれてそれがとてもうれしかったです」

安部「今日初めてアンちゃんを抱きました。今日はアンちゃんの方が落ち着いててびっくりしました(笑)」

——では最後に一言ずつお願いします
武井「この映画を見てくれる人がいっぱいになるとうれしいです!そしてこの映画を見た後に、親切な人や優しい人がいっぱいになるとうれしいです!!」
阿部「(武井くんは)本当にいいこと言うんですよね(笑) 僕は小学生くらいの子に見てもらいたいですね。すごく思い出に残る映画になっていると思います。」
安部「この映画は今年一番泣ける映画だと思うので、みなさんハンカチを忘れずにご覧ください」
鈴木「ぜひ家族のみなさんで楽しんでいただきたいと思います。日本の夏を愛しく思えるような、家族をもう一度大事だなと実感できるような映画になっていると思います」

映画の内容と同じく、とても和やかなあたたかい空気に包まれた完成披露試写会でした。

2009年8月22日(土)ロードショー

(Report:菊田ひとみ)