およそ10年間にも及ぶ構想期間!!ジャッキー・チェンが、香港、中国、日本のスタッフを集めて製作・主演を務めた犯罪アクション『新宿インシデント』のジャパン・プレミアが3月26日、新宿トーアにて行われた。主演のジャッキー・チェンの他、竹中直人、加藤雅也、拳也が登壇した。

舞台挨拶では、けたたましい銅鑼の音と共に、赤と青の獅子舞が現れ、舞台を駆け抜ける所から始まった。それに続いて、ジャッキーが登場すると、観客席から黄色い歓声、拍手がわき上がった。ファンにもみくちゃにされながらも、登壇したジャッキーは、「ショッキングな映画を持ってきました。自分自身のアクションシーンがなく、新しいジャッキーが見れます。今回がひとつのトライです。」と挨拶。アクションシーンを封印した事に対し、「気に入るか分からなくて不安だったが、全く違うものをやりたかった」という今回の作品への意気込みを明かした。そんな彼が演じるのは恋人を追いかけ日本にやってきた密入国者”成竜(鉄頭)”。東京・新宿の歌舞伎町で起こる裏社会の抗争に巻き込まれていき、裏社会の人間で人を殺し、女遊びもするという悪役に初挑戦する。
ジャッキー演じる鉄頭が歌舞伎町で出会う、刑事・北野を演じた竹中さん。ジャッキーに対し「本当にスタッフ想いで、撮影がどんなに遅くなっても片付けを一緒にやっていました。僕はただ『すげぇなー。ジャッキーが手伝っている』と思ってボーっとしていました」と撮影時のエピソードを語る一方で「自分は中国語を頑張って覚えたのに、ジャッキーは日本語を全然覚えてくれなかったんだよ。」と暴露。2人のシーンでジャッキーがカンペを見ながら、日本語をおどおどとしゃべるのを、竹中さんに真似されてしまい、ジャッキーが「竹中さんの中国語だって理解ができなかった。分かったふりしていましたよ」と言い返す場面も。そんな2人のやり取りに会場は、笑いに包まれた。歌舞伎町のヤクザの幹部・江口を演じた加藤さんは、ジャッキーとの共演に「僕が、ジャッキーの映画を初めて観たのは16歳の頃。こうして同じスクリーンに映っているのを見ると、不思議な気がします」と熱い思いを語ってくれた。現場の彼の様子についても「彼は、必ず最後まで現場にいて、皆を和ませてくれるんです。歌舞伎町での撮影の合間にはマスクと帽子をして、ドラッグストアに行くなど、あの”ジャッキー・チェン”が意外な場所にくりだすんです」と笑顔で語ってくれた。ジャッキーとはすでに共演経験がある拳也さんは、今回の共演で”ジャッキーについての新しい発見はありましたか?。”と聞かれ、「びっくりしました!すごい芝居うまいーって。前はとにかくパチンコ台の上で殴り合っていましたが、今回はアクションシーンがあまりなかっただけに、緊張感がありましたね」とふり返っていた。

そして舞台挨拶が終盤に近付くと、場内が急に暗くなり、「Happy Birthday!ジャッキー!」の可愛らしい声と共に、現われたのはジャッキーが撮影中可愛がっていた、加藤雅也さん演じる江口の娘役涼香ちゃんであった。 4月7日に55歳の誕生日を迎える彼の為に、駆けつけて来てくれたのであった。これに続いて観客席からクラッカーで祝福され、涼香ちゃんからは絵とお手紙をプレゼントされジャッキーは満面の笑みを浮かべながら「ありがとう」と感謝を述べていた。

最後に、不況などで元気のない人達へ「突然ジャッキー・チェンになったのではない。僕にも、家で仕事を待ち続けるなど悲惨な時期があった。悪い方向ばかり見ていた時期もありました。しかし父親からの”ヤクザ・ドラッグ・ギャンブルをするな。”の教えを貫き、そして、あきらめなければ運はつくと信じ、長い時を経てここに来ました。Never give up!」と心強い声援を送ってくれた。

(Report:長島美秋)