全世界30カ国以上で公開され絶賛を受けた『悪夢探偵』から1年。塚本晋也監督の長編第11作目となるシリーズ続編『悪夢探偵2』では、前作では描かれなかった“悪夢探偵”こと影沼京一の幼少期と母の姿が描かれている。

異様なほど怖がりで周囲の人はもちろん、自分までも傷つけ、ついには命を絶ってしまった母。自分を怖がり殺そうとした亡き母の思いを探るため、悪夢探偵は再び悪夢の世界へ入り込む・・・

12月3日(水)に映画『悪夢探偵2』の記者会見が行われ、前作同様に影沼京一(悪夢探偵)を演じた松田龍平と、300人を超える候補者の中から見事ヒロイン役を射止めた三浦由衣、京一の母親を演じた市川実和子、監督の塚本晋也が登壇した。

前作とは全く違う雰囲気を醸しだしている本作について監督は「前作の時点で、京一は幼いころに母親に殺されかけたというエピソードを作ってしまいました。でも僕自身の奥さんや子供を見ていると、乱暴な母親を描くだけじゃ“リアルじゃない”と感じてしまったんです。無意識に自分の今の環境や気持ちが映画の中に反映されていますが、逆にそうでもしないと怖がりの僕には最後まで描けなかったですね」と語った。

シリーズものは今回が初となる松田は「続編ということで意識したことは特になく、台本を初めてもらったときのような気持ちでやりたいと思った。前作でやったから本作でわかることもあるんだと感じながら演じました」と静かに語り、「今回は余計なものがそぎ落とされて、自分でも不思議なくらい良い形ですんなり入れて楽しかったです」と笑みを浮かべた。

塚本監督に見出され、本作が本格的な映画初出演となったヒロイン役・三浦は「選ばれたときは本当にうれしかった。ヒロインということより、塚本監督とお仕事できる喜びの方が大きかったです」と振り返り、「監督はじめ、スタッフや共演者の方々に引っ張って助けていただいたおかげでこの日を迎えることができました」と初々しいあいさつで場を和ませた。

世界に存在するありとあらゆるもの全てに恐怖を感じてしまうという難しい役どころにも関わらず、見事に京一の母親を演じきった市川。「怖いものは苦手!」と話す市川だったが、出演の決め手をこう語った。「塚本監督の作品なのでやはり台本にも怖いシーンはたくさん出てきて“どうしよう……”と思いましたが、怖いシーンを差し置いてもやりたいと思ったシーンがあるんです」。そのシーンとはずばりラスト。初めて母に対する京一の感情が溢れ出すシーンで、市川も「一番大好きなシーン」とし、松田も「今回は母と京一の話が軸になっていて、京一の心の内面がすごく描かれている。台本を読んでいて、“男って母親に甘えたいんだな・・・”ということが伝わってきました」と話した。松田自身、京一に共感できる感情が多かったということだろう。

また、本作のテーマにちなんで西洋占星術家・鏡リュウジさんが、事前に監督・出演者の2009年の運勢を占った結果を当日大発表するといった催しも行われると、監督は「イヤです!自分の人生くらい自分で決めますよ!」と若干ビビリ気味。しかし、2009年の運勢が良いことがわかると「信じますよ、当然。受け入れるしかないですよね」と、途端にご機嫌に。出演者たちも皆よい運気だったようで喜びを分かち合っていた。

本作には皆さんの運勢を占ってくれた鏡リュウジさんのほか、各分野で活躍している著名人がたくさんのコメントを寄せているので、ぜひ公式サイトで確認してほしい。

(Report:Naomi Kanno)