世界中でベストセラーとなった冒険小説「アラトリステ」シリーズを、壮大なスケールで映画化した歴史スペクタクル『アラトリステ』が、日本では12月13日(土)から公開される。
それに先駆け、主演のヴィゴ・モーテンセン(『ロード・オブ・ザ・リング』『イースタン・プロミス』)が来日、12月1日(月)に記者会見を行った。

親日家の彼はまず「日本に到着したばかりだから起きているのか、寝ているのか、それとも夢を見ているのかよくわからない状態だよ」と今の心境を語り、「日本のファンの皆さんとは世界中でお会いする。だから今度は僕が日本へ行かなくては!と思ったんだ。この映画もぜひ観てもらいたいしね」と、さわやかな笑顔で日本のファンへメッセージを贈った。

本作は17世紀スペインを舞台に、孤高の剣士アラトリステの愛と闘いの日々を描く。
「スペインの歴史が初めて描かれた映画だから、もちろんスペインの人々は大きな関心と期待を寄せているし、原作はゲストセラー、スタッフ・キャストは皆が“いい仕事をしなくては!”という緊張感を持っていたね。でも、完成した本作を観て“これは10年、20年経ってもスペインを代表するような作品になるだろう”と実感したよ」と胸を張った。

劇中で主人公・アラトリステは、死んだ仲間の息子(イニゴ)を我が子のように愛情を注いで育てるが、自身も俳優と父親という二足のわらじを履くモーテンセン。実の息子との関係性について、「とてもよい関係だよ!」とアピールし、「劇中のアラトリステと息子(イニゴ)の関係に近いね。父は息子にいろいろと教えるけれど、最終的に息子からいろいろなことを教えてもらうんだ。私の息子はとても日本が大好きで、読み書き会話ができる。日本に私と来たこともあるし、日本の文化が好きだからたくさんの本を教えてくれるんだ。宮本武蔵や剣術の本とかね」。

本作にはその息子さんもオランダ人の兵士役で出演しているそうで、親子で仲良く共演かと思いきや、「ストーリー上、私は息子を殺さなくてはいけなかったんだけど、リハーサルをしていたときに“パパ、本当だったらゆるさないけど演技だからゆるす”と言われた。彼は空手、武道、剣術いろいろやっているんだ」と苦笑いを浮かべたが、実際は実の息子との共演がとてもうれしかったに違いない。

その証拠に、息子さんに関することを話すときは決まって笑みがこぼれていた。そんな息子さんから日本へ発つ前に渡されたのは“侍”についての本。それを読み、モーテンセンは宮本武蔵とアラトリステはとても共通点が多いことを発見したそう。「道徳観やプライド、そして一匹狼的なところがとても似ていると思った。だから日本の方々もこの映画(アラトリステ)に共感していただけると思う」と語った。

来年は舞台にも出演予定だと話すモーテンセンは、「来年は大きなチャレンジの年だね。演劇をやるのは20年ぶり、しかもスペイン語でやるんだけど、ここまできたら逃げようもない。舞台はやり直しがきかないのでとても怖いけど、たまにはそういった怖さを楽しむのもいいかも」と意欲を見せた。

(Report:Naomi Kanno)