先日、特別便機内での機上試写を終えた映画『ハッピーフライト』の初日舞台挨拶が、11月14日(土)、今度は地上の日劇2で行われ、主演の綾瀬はるか、田辺誠一、寺島しのぶ、時任三郎、吹石一恵、田畑智子、矢口史靖監督ら総勢19名のキャスト陣が登壇した。

それぞれ劇中と同じCA(キャビン・アテンダント)やパイロットの衣装で登場。機長昇格を目指す副操縦士・鈴木和博を演じた田辺さんが「ご搭乗ありがとうございます。みなさんのおかげで離陸できました。上昇気流に乗って飛んでいきたい」と挨拶すると、観客からは温かい拍手が送られ、上映を終えたばかりの会場は飛行機の機内さながらの雰囲気となった。

ドジだけどポジティブな新人CA・斉藤悦子を演じた綾瀬さんが、「自分とは真逆の役を頑張りました」と話すと、矢口監督は「ほとんど素じゃん」と突っ込みを入れた。また、恐いと評判のベテランCA・山崎を演じた寺島さんは、綾瀬さんを「見ているのが珍しいくらいの生き物」と表現。それに続き、こなれた中堅CA・田中を演じた吹石さんも「(綾瀬さんは)突っ込みどころ満載」と話し、これを受けた綾瀬さんの「日々いじめられます・・・」の発言を吹石さんが慌てて否定すると、観客だけでなくキャスト陣からも笑い声があふれ、綾瀬さんの“天然さ”を中心とした連帯感の良さが垣間見られた。

衣装をはじめ、撮影のために本物の飛行機を提供するに至るまで、航空会社の全面協力を受けた今作品。キャスト陣は撮影前に実際のスタッフ用の研修を受けたそうで、威圧感たっぷりの機長・原田を演じた時任さんは「やることの多さに驚いた。普通の人間にはできない仕事」と、空の安全を守る仕事の大変さを語った。

そんな空の上を主な仕事の場とするキャスト陣の中、ひとり空港内での業務をこなすグランドスタッフ・木村を演じた田畑さんは、撮影中の走って転倒するシーンで肋骨にヒビが入ったというエピソードに「(撮影の)2日後に気づいて・・・」とコメントし、観客の笑いを誘った。

本作が4年ぶりの新作となった矢口監督は、「(『ハッピーフライト』の)取材と脚本に2年。こんなに時間をかけて脚本を書いたのは初めて」と語り、本作への意欲の高さをうかがわせ、作品を観終わった観客の嬉しそうな顔に喜びを噛み締めた様子だった。
公開前に、シアトルにあるボーイングの工場で上映した際には、現地の作業員から「アメリカの映画ですらここまで自分たちのことを忠実に描いた作品はない」と声を掛けられたという矢口監督。また、綾瀬さんも「(全面協力した航空会社とは)別の会社のCAの方に“ぜひ観たい”と声をかけられた」と話し、空の仕事に関わる多くの人からも注目を集めているようだ。

舞台挨拶の後半ではキャスト19名が1列に並び、壇上からおもちゃの飛行機を飛ばして観客にプレゼント。盛況のうちに舞台挨拶は幕を閉じた。

9月29日に行われた完成報告会見で矢口監督と7名のキャストが機体にサインをした「ハッピーフライト号(国際線)」、そしてサイン入りパネルを贈った「ハッピーフライト号(国内線)」が国内外をフライトしているとのこと。近日中にご旅行の際は、ぜひチェックしてみて欲しい。

(Report: Michiko TANAKA)