10月24日(金)東京国際映画祭 特別招待作品という形でジャパンプレミアとなる『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』が上映されました。会場のスクリーン5(265席)は見事に満席。やや男性が多めの異様な熱気の中でのスタートとなりました。上映前にはゾンビ映画界を知り尽くした、「別冊映画秘宝」編集長・田野邊尚人さん、ゾンビ映画ウォッチャーの伊東美和さん、ライター/デザイナーの高橋ヨシキさんというゾンビ映画界において知らない人はいないであろうお三方によるトークショーが行われました。

田野邊編集長(以下田):「昼間雨だったのに、ゾンビ映画だとやっぱり晴れますね(笑)」

高橋ヨシキさん(以下高):「今日はここだけファンタみたいですね。ファンタがなくなってからTIFFでもちらほらこんな映画の上映をやってるみたいですけどね」

伊東美和さん(以下伊):「ダイアリーですけど、僕はこの映画好きですね。『ランド』のフォロー的な感じでしたね」

田:「ランドは金持ちと貧乏人の話だよね。ぶっちゃけゾンビがいなくても成立しちゃう」

伊:「ダイアリーはゾンビが出てこないと成立しないですからね。今回のテーマはすごくナチュラルなものでしたね」

高:「今回は青い映画学校の学生がメッセージを代弁してるからすごく若い感じなんですよ。複雑な構造をしていて一回じゃわからないかもしれない」

田:「P.O.Vというやり方でとってましたよね。最近だと『クローバーフィールド/HAKAISHA』とか『食人族』とかね(笑)。いつバッテリーが切れるかわからなくて怖い」

高:「人が死に掛けてるのにバッテリーのほう気にしてますからね」

田:「映画学校行ってるやつにロクなやつはいないですよ」

高:「でも、ロメロのP.O.Vはすごく見やすいですね。観客に優しい」

田:「映画学校の生徒っていう設定なのでそんなに画面ガクガクしたら落第しちゃいますよ(笑)」

高:「あと、豪華キャストが声で出てるんですよ。スティーブン・キングが一番分かり易いかな。一番狂ってるやつですよ。気の狂った牧師の声(笑)」

田:「秘宝読んだら答えがわかりますよ(笑)。映像でもみんなが大好きな「ルワンダ大虐殺」の映像とか一瞬出てましたからね(笑)」

高:「ランドに比べると低予算だけど色んな壊し方があって素晴らしかったですね。ゾンビの頭はどこまで壊したら死ぬのかとかすごく勉強になりました(笑)」

伊:「州兵を最初続編に出すつもりだっていってましたけど、『ランド〜』のときはどうだったんですかね。自分の原点を見失っちゃったって感じでしたけど」

高:「見失っちゃったような映画かけるなよ(笑)。『ダイアリー〜』はこっからどうすんの? 見たいな感じですごくわくわくする。見てる方は散々ゾンビ映画見てきてるから何が起きてるかわかってるんですけど、登場人物は何が起きてるかわかってないんですよね。ルールとして死んだら生き返ったり頭撃ったら死ぬってみんな知ってるのに登場人物はそれを知らない(笑)」

田:「今までゾンビ映画ってむちゃくちゃあるのにね(笑)。しかも、作ってるのが(劇中で)ホラー映画だからね」

伊:「あと、マイノリティーが活躍しますよね。すごくかっこいいですよね黒人が活躍してて。あと、いつもよくある篭城が今回はないですね。ずっと旅してる(笑)」

高:「青春ロードムービーですよ(笑)」

田:「ゾンビでたから一刻も早くおうちに帰りたいっ!」

高:「この人たちは家に帰ることしか考えてないですからね(笑)」

と、盛り上がっているところで時間がきてしまい最後にお三方から「ゾンビ映画に外れはないです!」と力強い応援メッセージをいただきトークショーは幕を閉じました。本当にかつての東京ファンタスティック映画祭を思い出すような異様な盛り上がりで上映後は拍手喝采となりました。