今年度はエコにちなみ、「グリーンカーペット」を使用し、話題をよんだ、第21回東京国際映画祭。10月18日(土)より開催され様々な映画が催されたが、26日(日)に終幕となった。BUNKAMURA(渋谷区)のオーチャードホールにて、グリーンカーペット&クロージング・セレモニー(表彰式)が行われた。

今年度の「黒澤賞」を受賞したのは、ニキータ・ミハルコフ監督とチェン・カイコウ監督,喜びの声を語った。
(二キータ監督)「私の挨拶は1分以内にする(笑)。しかし、そういう限られた時間内だと何を話したらよいのか怖い感じがする。このような偉大なる黒澤さんの賞を得ることが出来、とても誇りに思う。」
(チェン監督)「黒澤監督は、日本を代表するだけではなく、世界を代表する方だと思う。日本文化の美しさや人間の強さがとても生かされている。私は北京の学生であった時、黒澤監督から大きな影響を受けた。だから、そんな黒澤賞を受け取ることが出来ることを心から嬉しく思う。黒澤監督の精神を受け継ぎ、この難しい時代の中で、映画というものにより手を取り合っていきたい。」

日本映画、ある視点部門の特別賞を受賞したのは、『大阪ハムレット』の岸部一徳。ロケのため残念ながら表彰式には参加できなかった。日本映画、ある視点部門の作品賞には、故:市川準監督の『buy a suit』。
代理として、助監督である末永智也が挨拶をした。
(末永助監督)「市川監督は9月19日未明に完成を待たず、お亡くなりになられた。この映画はプライベートフィルム。映画をこよなく愛した市川監督が、1から始めたいという気持ちでハンディカメラを持ち撮ったもので、映画の基本に戻ったもの。」
(故・市川監督の奥様)「忘れかけていたものを取り戻したいという思いで作ったもの。このような賞を頂いたことで、この映画に携わった方々に御礼が出来た、貢献できたと思う。」
と、涙ぐみながらの市川監督の奥様からのご挨拶があった。

アジアの風部門の最優秀アジア映画賞では、『私のマーロンとブランド』のフセイン・カラベイ監督の作品。まず日本語で「こんにちは!」「お元気ですか!」という挨拶をし、
(フセイン監督)「この日本語は一緒にいた日本人から聞いた。このように賞をもらい、賞金をもらったことで、トルコで上映することが出来、より多くの人に見てもらうことが出来とても嬉しい。」
さらに、アジアの風部門のスペシャル・メンションは『陽もまた昇る』『ムアラフー改心』『生きていく日々』の3作品。

TOYOTA Earth Grand Prixの特別賞には『ミーアキャット』、審査賞には『ブタがいた教室』。
(前田監督)「7年前に亡くなられた相米監督が以前立っていたこの同じ場に立つ事が出来、とても嬉しい。しかし、僕は7年前に宮崎あおい出演の映画『パコダテ人』の撮影の為に相米監督のお葬式に参加することが出来なかった。僕は今まで泣く機会を失ってしまっていた。なので、今日は夜1人で泣きたいと思う。」

そして、グランプリはホセ・アントニオ・キロス監督の『フェデリコ親父とサクラの木』が受賞した。
(ホセ監督)「1分だけです。有難うございます。東京が大好きです。スペインには帰りたくありません。(日本の)皆さんとても親切でした。とても素晴しい映画祭でした!」
ホセ監督は、なんと全て日本語によるスピーチを行い、会場では拍手喝采だった。

コンペティション部門の観客賞では、なんと2つ目の賞を受賞した前田哲監督の『ブタがいた教室』。
(前田監督)「さっき、いい感じに終わったのに・・(笑)。映画はお客さんが見ていただき、映画になるのだと思う」と、簡潔ながらも嬉しさを交えた表情で挨拶を、更に本作に出演した妻夫木聡のコメントも届いた。
(妻夫木)「2つの賞をとれたことをとても嬉しく思う。少しでも、命のことについて考えてくれればと思う。子供たちの嘘のない真実の言葉が皆さんに届いたのだと思う。子供たちに拍手!」

コンペティション部門の最優秀芸術貢献賞では、フランソワ・デュペイロン監督の『がんばればいいこともある』が受賞した。そのほかに、コンペティション部門の最優秀男優部門では、『パブリック・エナミー・ナンバー1』に出演したヴァンサン・カッセル。最優秀女優部門では、『がんばればいいこともある』のフェリシテ・ウワシー。表彰式にはいずれの方も欠席だった為、代理の方による受賞となった。『がんばればいいこともある』の代理の方によるコメントは、
「フランスではこのようなアンサンブル映画というのはないので、嬉しく思う。この映画を作るうえで、正直お金集めが大変であった。このような賞をとれて嬉しく思う。」と喜びを語った。そして、最優秀男優賞を受賞したヴァンサン・カッセルからのムービーレターが届き、以下のような喜びの声を述べた。
(ヴァンサン)「今パリにちょうどいて、行くことが出来ず、すみません。今度はぜひお目にかかりたい!と思う。」

最優秀監督賞には、映画『トルパン』のセルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督。
コンペティション部門の審査委員特別賞にはイエジー・スコリモフスキ監督の『アンナと過ごした4日間』が選ばれた。
(イエジー監督)「僕は1番短いスピーチをする。短いスピーチ賞をぜひとももらいたい。「ありがとう」」と、今回の受賞した中で、喜びの表情をうかべながらも、もっとも短いスピーチを行った。

今回、コンペティション部門においての国際審査員を務めたのは、マイケル・グラスコフ、フォー・ジェンチー、セザール・シャローン、檀ふみ、高田宏治、そして審査委員長として、ジョン・ヴォイドであった。世界72カ国から691作品の応募があり、
(ジョン・ヴォイド)「こうして審査員の皆と一緒に審査したのは、非常に冒険だったが、強い友情を築けた。多くの人は、僕たちがこの期間中、1日2,3本も真っ暗な部屋の中で映画をみることを気の毒なことだと思うかもしれない。しかし、それは素晴しい旅だった。この作品の1つ1つを喜んで見せてもらった。色々な意見があり、分かち合いながら、6つの賞を選ぶのはとても大変だった。」と、審査には大変苦労したようだった。

今年で第21回目を迎えた東京国際映画祭は、無事閉幕となった。
(Report:大倉真理子)