第21回東京国際映画祭 コンペティション部門『ハムーンとダーリャ』。寓話を絡めたラブストーリーを通して描かれる、ピュアな少年の愛の物語を描いた監督のエブラヒム・フルゼシュさん、そしてキャストのメラン・ゴルモハマドザデさんをお迎えして、ティーチインと記者会見が行われました。

■ ティーチイン 10月23日(木)15:18〜 (TOHOシネマズ六本木ヒルズScreen 7)
■ 記者会見 10月24日(金)14:00〜 (ムービーカフェ)
■ 登壇者 エブラヒム・フルゼシュ(監督)、メラン・ゴルモハマドザデ(俳優)

質問: 今回はワールドプレミア上映でしたね。
エブラヒム・フルゼシュ監督: 東京国際映画祭に来れてとても光栄です。そうですね、世界に先駆けての東京での上映です。今後は、他の映画祭でも上映される予定になっています。

質問: 寓話のように撮影するというアイディアは、どこで思いついたのでしょうか。
監督: 日本では「七つの海を股に掛ける」と言うそうですが、イランでは「七つの困難を乗り越える」といい、その七つの困難を乗り越えてこそ、欲しいものが手に入るのだと言われています。この作品では、主人公のハムーンが様々な試練を乗り越え、大切なものを手に入れていく姿を描きました。

質問: 純粋な男の子を演じるに当たって気をつけた事はありますか? また、ご自身とハムーンは似ていると思いますか?
メラン・ゴルモハマドザデさん: ハムーンがダーリャに抱いた恋心は、とても純粋だと思います。演じていく内にその気持ちが自然と自分のものになっていくような感じがしました。僕は主人公と同じように友達を大切にしています。彼のように命を掛けて大切な人を守りたいと思います。
監督: メランは恥ずかしがり屋なのではっきりとは言わないようですが、実は共演のヒロインに恋をしたようですよ。ですから彼女が病気になり、ハムーンが泣くシーンでは、本当に心の底から悲しんでいたようです。メランと数ヶ月過ごしましたし、彼のことを良く理解していると思います。現場では、唯一の女の子であったダーリャに、男の子はみんな恋心を持っていたようです。そういうこともあって、暴力シーンでは、みんな手加減せずに、メランを殴ってしまっていたようです。やさしい彼は文句も言わずにいましたけどね。ハムーンのような優しさのある少年ですし、撮影スタッフに対して常に尊敬をもって接していましたしよ。

質問: メランをキャスティングした経緯は?
監督: 私は、テヘランにある児童青少年知育協会の映画制作部に所属しているのですが、そこで青少年についてのドキュメンタリーや映画を100本以上撮ってきました。この協会では、こどもたちを起用し、こどもたちのための映画を撮ってきましたので、そこでの経験から、彼らの気持ちができるようになりました。しかし、その子供たちは1〜2年で成長してしまうので、常に出演してくれるこどもを探していました。実は、『ハムーンとダーリャ』の準備と、他の映画の撮影を同時進行させることになりました。急遽、学校を回ってキャストを集めていました。その当時、すでに歌手として活動していた16歳のメランに出会いました。ドタールの演奏者でもあったので、この映画に最適だと確信しました。
メラン・ゴルモハマドザデさん: 8歳ごろから歌を歌い始めましたが、声変わりをしてから歌はしばらくやめていました。その間、ドタールの勉強を始め、今では弾けるようになりました。映画の中でも僕が実際に弾いているんです!