第21回東京国際映画祭にて、バリを舞台にした映画『アンダー・ザ・ツリー』ティーチインが行われた。登壇者はガリン・ヌグロホ監督とキャストのアユ・ラクスミさん、ナディア・サフィラさん、イクラナガラさんだ。

同映画祭の参加は5回目となり、審査員経験者でもあるガリン・ヌグロホ監督は「私は東京国際映画祭を愛しています。毎回新しいアプローチで作品を持ってきています。」と優しげな笑顔で語った。

本作は、最近のインドネシアの社会的な問題となっている心中事件を背景に、3人の女性それぞれに焦点を当てた人間ドラマ。それぞれのキャストがダイアローグ(対話の部分)を考えて、演じるという一風変わったアプローチをした作品である。

ガリン・ヌグロホ監督は「3人の女優には撮影中毎回自分の話すセリフ・どのような場面なのかを書いて提出してもらいました。このやり方はバリの演劇の作り方に沿って作ったものです。」と語り、舞台で活躍するイクラナガラさんに解説を頼んだ。
イクラナガラさんは「バリの伝統的な演劇は台本がありません。色々打ち合わせをしながら物語を決め、それぞれがセリフを考えてそのまま上映します。経験豊かな役者でなければ、そういうことは可能ではありません。」と語る。役者の力量が問われる作品づくりだ。
実際にダイアローグを書いた女優アユ・ラクスミさんは「インスピレーションを持たずに演技やダイアローグを作ることができませんでした。ジャングルの中で演技を見失うこともありえました。」と大きな挑戦だったことを明かし、撮影当時を振り返った。
ナディア・サフィラさんは「国際的なイベントに参加するのは初めてで、まして東京に来ることができたのは光栄なことです。」とはしゃいだような笑顔をみせた。

(Report:Hiromi Kato)