2009年お正月第二弾映画として『死ぬまでにしたい10のこと』の女流監督 イサベル・コイシェ監督最新作『エレジー』が公開されます(ムービーアイ配給)。主演は、ペネロペ・クルスとベン・キングズレー。キングズレー演じる著名な初老の大学教授と、ペネロペ演じる、彼を魅了し、同時にその心をかき乱すひとりの若く美しい女性との切ない関係を描いたラブストーリーです。
ふたりの親密なつながりが彼らを変えたとき—— 男:衰える肉体、女:病に侵される肉体、そしてふたりに共通する”孤独”を感じた瞬間———。
本作は、男女の肉体に焦点をあてながら、大人の女性の心の本音を描き出す傑作です。
公開に先立ち、第21回東京国際映画祭 特別招待作品として上映され、イサベル・コイシェ監督の舞台挨拶が行われました。

日時:2008年10月23日(木) 開演 16:50 上映 17:05
会場:TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7
登壇者:イサベル・コイシェ監督

MC:監督のこれまでの作品は日本でも非常に人気が高く、今回の新作の公開を楽しみにしているファンの方も多いのですが、今回『エレジー』を撮ってみようと思ったきっかけを教えてください。

コイシェ監督:2年前『あなたになら言える秘密のこと』の公開の来日時に、次作の男女の2人が出会うシーンを考えていて、なかなか思いつかず、悩んでいました。そのときに、ちょうどアメリカから、今回のフィリップ・ロスの企画・脚本をもらったことがきっかけです。もともと私はフィリップ・ロスの大ファンで自分でもよく本を読んでいたけど、自分がフィリップ・ロスの作品を映像化するなんて考えられなくて、監督を引き受けるまで、ずいぶん悩みました。だけど、最終的には「YES!」と答えていたの。

MC:主演の2人をキャスティングした理由と実際一緒に撮影していかがでしたか?

コイシェ監督:ペネロペ・クルスは企画をもらった時点で決まっていました。実は監督を引き受けるか迷っていたときに、ペネロペに説得されたという経緯もあるの。ベン・キングズレーは脚本を読んだときにベンしかいないと思ったので、ロンドンでベンと脚本の話ではなく、愛について語り合いました。そこで、引き受けてくれました。いつもいうセリフですが、今回は本当に『素敵なキャストと素晴らしい共同作業ができました』

MC:監督は主演の2人コンスエラ(ペネロペ)と、デヴィッド(ベン)のどちらに感情移入しますか?

コイシェ監督:私は女でコンスエラより年も上なので、もっと若い男の人がいいわね(笑)。映画の中のデヴィッドはフィリップの本の中の彼とは、ちょっと違います。フィリップのデヴィッドはもっと単純な感じですが、映画ではもっと彼の内面や裏側を深く描きたいと思いました。コンスエラは、本当に知的で美しい女性でデヴィッドより遥かに成熟した人。デヴィッドは愛を恐れ、臆病になって愛を拒んでしまうけど、コンスエラに本当の愛を教えてもらう、素敵なお話です。私は2人とも大好きです。

<イサベル・コイシェ監督 プロフィール>
ISABEL COIXET(Director)
1960年、スペイン・バルセロナ出身。映画監督・脚本家。
 『死ぬまでにしたい10のこと』(03)。
 『あなたになら言える秘密のこと』で2005年のゴヤ賞を受賞。
 『パリ、ジュテーム/バスティーユ』(07)では脚本を担当。
初めての聖餐式で8ミリカメラをもらったときから、映画を作り始めた。バルセロナ大学で歴史を18、19世紀の歴史を学んだのち、広告とコピーライターの仕事に就き、賞受賞コマーシャル作品の数々を製作。1988年、『Demasiado Viejo Para Morir Joven』で脚本・監督デビューを飾り、ゴヤ賞最優秀新人監督賞にノミネートされ、その後は奥深いドラマ作品を精力的に生み出している。
現在は、自身の製作会社ミス・ワサビ・フィルムズを設立するに至る。