「少年アシベ」などの人気コミックを手掛けた森下裕美さん原作の映画『大阪ハムレット』が第21回東京国際映画祭でお披露目、光石富士朗監督が舞台挨拶し、観客の質問に答えた。

映画『おぎゃあ』を手掛けた光石監督は、「固い男なので…」と自身で前置きするように、ときおり撮影当時を思い出すかのように目を閉じながら実直に語る姿が印象的だ。
「我々と同じ、普通の人の映画を撮りたいと思いました。日々の悩みや困難を抱えながら、たまにある小さな喜びを繰り返して生きている人間を映画で表現したいと思いました。」大阪の街を舞台に、父親が亡くなり一変した久保家の日常を描く。人々の共感を呼ぶ原作の“人間像”を映画で再現することに挑戦した意欲作だ。

観客からはキャスティングについて質問が集中した。母親の房子役には日本を代表する女優・松坂慶子さんをキャスティング。「房子という人間の持っている大らかさと松坂さんの持っている雰囲気がシンクロしていると感じました。松坂さんは僕が何を言おうと動じられなかったですね。良い感じで落ち着いていてくださって、助かりました。」三人の子役は全員オーディションで選んだ。直感ではなく、時間をかけて決めたという。
久保家に転がり込んだ伯父の役には幅広い役柄を演じきってきた岸部一徳さん。「殺し屋役から情けない役までやられる方。僕は(岸部さんの)情けない役が大好きだったんです。岸部さんがたまに殺し屋の目になるので、それを必死におさえた記憶がありますね。ご本人は不器用だからとおっしゃっていましたが、とても丁寧に、段取りを確認して役を作る方なんです。」と微笑んだ。

物語のテンポはよく、しかし、ゆったりとした空気感が伝わる作品となった。「誤解を恐れずに言えば、映画っていうのは偶然でできていると思います。たまたまの配役、僕が原作に対する理解で(作風の)リズムが生まれたのだと思います。僕の中でベストを尽くした作品です。」と自信を隠さずに語った。

2009年新春 シネスイッチ銀座、シネ・リーブル梅田 ほか全国ロードショー
(C)2008「大阪ハムレット」製作委員会
第21回東京国際映画祭 公式上映の模様から

(Report:Hiromi Kato)