デビュー30周年を迎えた以降も、トップシンガーとして歌い続ける松山千春が23歳の時に自ら書き下ろした自伝「足寄より」をベースに映画化された本作では、期待の若手注目俳優・大東俊介が若き日の松山を演じた。初主演作品であり、この日が観客の前で初お披露目となる大東は「同じ22歳の男として松山千春さんに負けてたまるかと思いました。僕にとって凄く大きな作品で、役者としても大きな作品になりました」と感激していた。

ラジオ局のプロデューサーを演じた石黒も、「この映画に出演して、(18日の)グリーンカーペットを歩く事ができました。本当に嬉しかったです」と初体験に同じく感激していた。また「自分にとって松山千春さんは、中学生の時、「ザ・ベストテン」で毎回毎回凄くいいところまでいって、今週は出るのかな?と思うと歌だけ流れて。それが(松山さんとの)最初の出会いでした。その歌の前に、こんなにドラマティックな物語があったのかと云う事をこの作品をやる時に初めて知りました」と松山千春との出会いを語った。

本作でメガホンを取った今井和久監督は初お披露目の場となった会場で「松山千春さんの物語を通じて、人と人との触れ合いや信じる事、『絆』や人を信じる事の素晴らしさを感じてほしい。観終わった後に、家族、昔の友達や故郷や思い出してもらえたらありがたいなと思います」と語った。

実在の人物を演じると云う事で、大東にとっては相当なプレッシャーになった様で、「千春さんとは作品に入る前に、コンサートの時に初めてお会いしました。凄く大きな方でした。松山さんはプレッシャーを揉み解そうとしてくれて、存在自体も大きな方でした。当時の(松山の)映像資料とか見ました。でも、自分の中で役作りをしていく内に、不安やプレッシャーで悩んでしまって。このまま「ものまね王座決定戦」にでも出るのかな?とか、そっちに頭がいってしまった。

そんな時に、(父親役の)泉谷しげるさんに『本当に千春に見せたいなら千春本人が特殊メイクをして演じればいい。そうしないでお前が選ばれたんだから、この松山千春と云う役はお前なんだ。お前が好きに演じればいい』と言われ、「劇中の松山千春は俺だ」と吹っ切れました。(松山の)マネージャーさんに、歩いていると千春に似ているって言ってもらえて、凄く嬉しかった」と泉谷の一言で迷いや不安が無くなったエピソードを語り、周囲の温かい支えの中で自分流に松山千春を演じきった事を明かした。