日本に’”ホラー漫画”というジャンルを確立した、漫画家楳図かずお氏の過去の映画化された作品の中でも最高傑作との呼び声高い『おろち』がついに封を切った。
初日舞台挨拶には、主演の門前姉妹を務めた木村佳乃と中越典子、おろち役の谷村美月、原作者の楳図かずおらが登壇して満員の場内に賑わいを見せた。
劇中で壮絶なバトルを繰り広げた木村と中越は、“仲良く”手をつないで登場。
木村が撮影秘話として、「ある撮影の日、朝7時から翌日早朝まで撮影で家に帰れなくて、近くの唯一あるコンビニで下着を買ったんですけど、後から典子ちゃんも同じ下着を買っていたと聞いて、不思議な連帯感を感じましたね〜(笑)」
と語ると場内からは笑いが起こり、劇中で演じる姉妹の狂気からは伺えないくらいの現場での仲の良さを垣間見せた。

『リング0〜バースデイ〜』『案山子-KAKASHI-』等でホラー・スリラー映画を描く手腕には定評のある、”Jホラーの父” 鶴田法男が本作では原作の中でも一際強烈なインパクトを残した美人姉妹のエピソードをピックアップし、女という生き物の”美”への恐ろしいまでの執念を丹念に描ききった。
「薔薇の棘(とげ)のような、普段注目されない女性の隠された部分を表現したかった。楳図作品の映画化作品の中で最高傑作にしたいという気持ちが強かったですね。ホラーというジャンルではなく、女性向きなファンタジーとも観て取れるかもしれません」
という監督のコメントに、楳図は即座に反応し「いや、僕はホラーとして観てもいいと思いますけどね!!」と反論。 監督は「ス、スミマセン・・」とたじたじの様子であった。

人智を超えた不思議な力を持つ謎の美少女おろちを演じた谷村は、今回演じるにあたり「瞬きをしないのが本当に大変で・・。おろちの場面は特に風が強いシーンが多くて、瞬きを我慢することが一番の課題でした。でもワンシーン毎描き方が丁寧で、独特の世界観があります。原作も映画も好きになってほしい。」と語った。

大の楳図ファンで本作に関れて嬉しいと語る、プロデューサー役の山本太郎は、「僕の小学校時代のおねしょの80%は楳図作品のせいですね。舞台挨拶よりも今日これだけは言っておこうと思って。」と個人的なエピソードを明かし、木村と中越演じる美人姉妹との共演について質問されると、「僕は作中二人に愛される役なんですけど、こんな美女二人に愛されるなんて、僕は来年死ぬんじゃないかと本気で思いました(笑)」と語り、観客から笑いを誘った。

本作の出来について、原作者の楳図かずお氏は「どこをとっても内容がきちんと詰まっている。女優の皆さんからも凄まじい演技力を感じましたね。木村さんと中越さんのバトルシーンを見に行ったんですけど、(長い髪の毛を引きずり回されるシーンで)中越さんの髪は本当の毛じゃないですよね!?」との質問に、木村が「そーなんです!植毛したんですよね〜!」とコメントし、本作の姉妹のバトルの壮絶さが伺えた。

そして初日を祝して、特別ゲストが登場!! 本作の姉妹と同様、一草・理沙と名づけられたラットスネークの姉妹が登壇者を祝福した。
血相を変え逃げ惑う木村に対し、無類の爬虫類好きで知られる中越は、「綺麗な肌だね〜」を腕に巻きつけ満足した様子。
中越は、「ヘビが夢に出てきて、ずっと会いたいと思っていたんです!!」と笑顔で嬉しそうに語った。

(Report:Inoue Midori)