映画『バッシング』を描いた小林政広監督の最新作の映画『幸福 Shiawase』が初日舞台挨拶を行なった。
本作は白夜の街、北海道・勇払を舞台に描く中年男女の幸福さがしの人間ドラマ。小林監督が『バッシング』以前から暖めていた脚本だ。制作までは長い道のりだったとか。「何人かのプロデューサーには見なくちゃわからないような映画だとだめだと言われた。でも映画は見なくちゃダメだと思います。」と小林監督。その後、縁あって制作ができたのは「奇跡的なこと」と語った。

中年男を演じた石橋凌さんは「撮影から約3年間という時間があって、公開にたどりつけた。思いが叶った瞬間は幸せを感じる。」と初日公開に感謝を込めて挨拶した。
石橋さんの相手役の中年女は舞台で活躍している桜井明美さん。映画初出演ながら、素の自分との境目がなくなるくらいに役になりきり、「撮影以外のときも、ずっと役柄を引きずって、暗くぼそぼそしゃべっていました。」と撮影当時を振り返った。

共演者の橘実里さんは「ささやかなことがつまっている作品」と笑顔で語った。出演者三人が口を揃えて魅力を伝えたことは小林監督が描く世界観だ。オリジナルの脚本、独特の動きや間で小林ワールドが広がっている。
舞台挨拶が終わる間際に小林監督は「石橋さんが最初に出てくるシーンがありますが、あれは石橋さんの了解を得て、やってもらいました。」と作品上映前の観客の関心をそそる解説のプレゼント。

シネマート六本木でロードショー。他出演者は村上淳さん、柄本明さん、香川照之さんら。

(Report:Hiromi Kato)