今年の東京国際映画祭ラインアップ発表記者会見が、18日(木)に六本木アカデミーヒルズ49にあるタワーホールにて行われた。

まず、出席者である財団法人日本映像国際振興協会 理事長の高井英幸、第21回東京国際映画祭 チェアマンの依田巽が登壇し、挨拶をした。挨拶終了後、各部門別に上映作品の紹介が行われた。なかでも、21回目を迎えた今年は、“エコロジー”をテーマに新たな試みとして新設された“natural TIFF supported by TOYOTA”や映画を作る「監督」にスポットをあて、今の時代を担っている日本映画界の監督3人をナビゲーターに、映画人の視点から語る「映画人の視点 Director’s Angle」で、監督が選んだ作品をオールナイト上映するなどの新企画も紹介された。今年は、約300本の映画を上映する。

質疑応答では、映画祭から地球環境問題を訴える試みについて質問が及び、依田チェアマンより、「私達、映画人は映画を作り、見てもらう。映画は地球で作られる。その地球環境の現状について、問題提起していきたい」 と訴えた。また、今年は助走の年であり、来年のステップの内容を映画祭クロージングの際に発表する予定。

そして、ゲストとして、コンペティション部門に出品の『コトバのない冬』から、監督初挑戦の俳優・渡部篤郎と主演の高岡早紀、『ブタがいた教室』から前田哲監督が登壇し、TIFF に参加する意気込みや撮影秘話などを語った。

MCからは、今回、東京国際映画祭のコンペティションにノミネートされた心境について聞かれると、監督の渡部は、「まさか選ばれるとは思っておりませんでした。大変光栄で、ただただ、感謝の気持ちで一杯です」と、喜びを語った。主演の高岡も、「このような素敵な映画祭に参加することができ、大変光栄です」と笑顔で語り、今回1人で登壇した前田監督は、「妻夫木君がいなくてすみません(場内爆笑)。一人でさびしいです。以前、この東京国際映画祭で相米監督がグランプリをとっていたのを見て以来、僕もいつかは・・・と思っていたのでとてもうれしい」と語った。

MCからは、『コトバのない冬』について「全体的にアドリブの様な作りになっているのですか?」の質問に監督の渡部からは、「台本はあります(笑)。そう見えたのはCASTの力で、テストなしの一発勝負で、役者はよくついてきてくれました」と満足そうに話すと、高岡からは、「各シーンごとに深く掘り下げていく作業だったので大変でした。今回、私は、冬の北海道に初めて撮影で行きました。寒いのに薄着で渡部さんが雪かきしている姿を見て皆で渡部さんの為に頑張ろうって言ってました」と、懐かしそうに撮影中の話をした。

『ブタがいた教室』の中で、子供達が激しく議論を戦わせるシーンがありますが、子供達の迫真の演技を引き出すために工夫した点について前田監督は、「心から出た言葉しか伝わらないと思っているので、クランクイン前の4ヶ月間、毎週土日に実際に子供たちに学校に来てもらうように撮影に来てもらい、クラス作りをすることから始めました。実際に撮影で使うブタの世話をしてもらい、ディベートのシーンでは子供達の自然な気持ちが表現できたと思います」と、作品への完成度の高さをアピールした。

通常の記者会見では見られない程の多くのマスコミが集まり、ゲストが退場するまでフラッシュの嵐が続きこの映画祭への関心の高さがうかがえる記者会見となった。