日本の古代史のなかで、いまなお謎に包まれている邪馬台国。昭和40年代初期、この邪馬台国ブームの火付け役となったのは、第一回吉川英治文化賞を実証した大ベストセラー「まぼろしの邪馬台国」が発端だった。その著者は、島原鉄道の元役員であり、全盲の文学者としても有名な宮崎康平。破天荒な言動、行動の宮崎には、献身的に夫を支える妻・和子がいた。この物語は九州の美しい大自然を舞台に、ロマンをもって邪馬台国の発見に携わった夫婦の軌跡の実話である。

映画『まぼろしの邪馬台国』の11月1日の公開を記念して、9月18日(木)より2階建ての真っ赤なロンドンバスを改造したキャンペーンカーが全国を回ることになり、六本木・国立新美術館にて出発式が執り行われた。

出席したのは、本作で夫婦を演じた吉永小百合と竹中直人、バスガール役でスクリーンデビューを果たした柳原可奈子、本作の監督を務めた堤幸彦。
高さ4.4メートル、長さ10メートルの巨大バスを目の前に、「“まぼたい号”は、今日ここから私たちの気持ちを乗せて出発するんですね。私たちも“まぼたい号”に負けないように、全国を回ってたくさん宣伝していきますのでよろしくお願いします」と吉永が意気込みを語ると、竹中はバスをしばし見つめ、「すばらしいですね〜。びっくりしました! 私の顔もそうだけど、これが納得いかない」と、ポスターの傍らに写った柳原を指差し、マスコミ陣を沸かせた。

柳原はというと、「私もなんかそれ、取って無理やり付けたみたいな感じがしてましたよ(苦笑)」とコメントし、「私は本作でスクリーンデビューしましたが、最初に吉永さんと共演することを父に話したら、“でかした!”と言われました。ギャルの間で“まぼたい”ブームを起こそうと思います!」と満面の笑みで語った。

その後、実際にバスの中を見学したキャストたち。主演のお二人は、「立派だし、このバスが街中を走っていたら皆が気に留めてくれるんじゃないかと思います」(吉永)、「(バスに書かれた竹中と吉永の名を指差し)、僕の人生にこんなことってもうないんじゃないかな? バスの中には吉永さんの10代の頃からのプロマイドが展示されていて驚きました」(竹中)と興奮気味に感想を述べた。

竹中が隣にいる吉永を意識してかそわそわする中、吉永が「竹中さんは役柄の<康平さん>というイメージが強いので、竹中さんという風には見られないんですよね。撮影は本当に楽しかったですね」とほほ笑みかけると、「こんなに吉永さんがお茶目な方だとは思わなかった。もっと早く出会っていれば・・・」と言うと、吉永も「私ももっと早く出会っていれば・・・」とつぶやき、お茶目な一面を垣間見せた。

舞台となった九州・島原についてのエピソードを竹中は「(役と違い)私は目が見えますが、吉永さんの香りはもちろん、土のにおい、その手触り、そして風のにおい、そういうものを感じながら吉永さんの肩を借りて島原を歩いたというのは、本当に忘れられない思い出です」、吉永も「この宮崎夫妻は本当にすばらしい。(私が演じた)和子さんの力強さを出せたらと思いながら演じました。美しい景色の中で、自然と夫婦愛を出せたと思います。竹中さんはとても真面目な時もありますが、口笛が上手で哀愁漂う感じがしました」と、撮影時を振り返った。

その後は、柳原が“まぼたい号”を得意のショップ店員風で紹介すると、「最高ですね! 初めて生で見ましたがおもしろいです」と吉永が大絶賛。すると、対抗心からか竹中が突然、田中邦衛さんの物真似を始めるなど、終始笑いが溢れる出発式となった。

※“まぼたい号”は、映画初日の11月1日まで全国を駆け巡ります。
車内には本作の展示物、キャストのダイジェスト映像、販売物など盛りだくさんです。

(Report:Naomi Kanno)