多忙な日々を繰り返す現代社会の中。
人々が忘れかけている「親子の絆」「命の大切さ」を涙と希望で紡いだ心温まる物語、『ぼくのおばあちゃん』がついに完成。
17日(水)に行われた完成披露試写会では、主演の菅井きんと岡本健一をはじめ、キャストや監督らが登壇した。

映画『ぼくのおばあちゃん』原作者は“326”ことなかむらみつる。98年にフォークユニット<19(ジューク)>を結成、多数のヒット曲を生み出し、現在もイラストレーター、詩人、作詞家など多くの顔を持つマルチ・アーティストとして活躍中だ。そんな彼の実体験が、この映画の物語になっている。

なかむらは「今日は幸せすぎて顔がにやけちゃう」と恥ずかしげに答え、「これは僕の実話です。今は亡きおばあちゃんと父の姿を映画を通して見ることができてうれしかった。父のシーンでは途中から(感極まって)見られなかった。この試写は母ちゃんと見たんですが、母ちゃんを原さんが演じていて、そこだけ美化されちゃったかな?と(苦笑)。でも原作者としては大満足です!」と太鼓判を押した。

主人公である<おばあちゃん>を演じたのは、82歳で本作が映画初主演となった菅井きん。
世界最高齢映画主演女優ということで、8月29日付けでギネス世界記録に認定された。
映画『あいつ』以降17年ぶりの主演映画となり、本作ではおばあちゃんの成長した孫を演じた岡本からからギネス認定書を授与されると、照れくさそうにはにかんでいた。
そんな菅井に、岡本は「僕のおばあちゃんはもう亡くなっていますが、菅井さんを本当のおばあちゃんだと思いながら接していました」と優しく寄り添った。

舞台となった四国・愛媛について、菅井が「初めて訪れましたが、どこからでもお城が見えて静かでとてもいい町。現地の方々もよくしてくれました」と穏やかにほほ笑むと、榊英雄監督も「ロケハン初日から絶好の撮影場所が見つかったんです。そういうのも運のうちかな?と、とても印象に残っています」とにっこり。

共演者の原日出子と清水美沙も、「私は(子役が岡本さんになっても)ずっと主人公の母を演じていたので、最後の方はどんなおばあちゃんになっているか楽しんで見てほしいですね」(原)、「いつもヒステリックに怒っている役だったのでつらかった。本当の私はこうじゃないですよ(苦笑)。大先輩の菅井さんとぜひ共演したかったんですが、一緒のシーンがなくて残念……。でも同じ作品に出演できてうれしかったです」(清水)と、思い思いに語った。

そして、最後に榊監督は「僕は普段、役者という仕事をしていますが、映画を撮りたくて10年かかりました。色々な人の協力でここまできましたが、悲しいことが1つだけありました。僕の作品に引き続き出演してくださった深浦さんが亡くなったことです。映画は一期一会と言って、本作でも“じゃねー!またねー!”と別れたため、深浦さんへの気持ちにはふんぎりがつかないまま今日来てしまいました。でも、この場にご家族がお見えになっているのを知り何だかホッとしました。僕もこの作品には色々な思い入れがあるし、映画は永遠に生き続けるものだと思っています。今日は本当にありがとうございます」と、本作への熱い思いと、先月25日に惜しまれつつも亡くなった女優・深浦加奈子さんについて、印象的なコメントを残した。

(Report:Naomi Kanno)