『下妻物語』『嫌われ松子の一生』で日本映画を革新し続けてきた中島哲也監督が、今回伝説的な舞台「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」を映画化。
変わり者ばかりが集まる病院を舞台に、1日しか記憶が持たない少女のために、大人たちが思い出を残そうと奮闘する姿をファンタジックに描いた『パコと魔法の絵本』が、本日9月13日(土)に公開初日を迎え、主演の役所広司をはじめ、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、そして中嶋監督と総勢11名が勢揃いし、有楽座にて行われた初日舞台挨拶に登壇した。

※キャスト陣のコメントは以下の通り

【役所】「どうも、クソじじい大貫を演じた役所です。1人でも多くの方にこの映画を観て頂きたいと思いますので、是非皆さん、帰りの電車の中で“パコと魔法の絵本、おもしろかったぁ〜‥”と呟きながら帰って頂ければと思います(笑)」

【アヤカ・ウィルソン】「いっぱい笑って、いっぱい泣いて、楽しんで頂けましたか?(会場から大きな拍手が沸く)ありがとうございます!この映画を観て、心温かくなってくれたら私も嬉しいです」

【妻夫木】「笑いあり、感動あり、中島監督のアイディアがたくさん詰まった宝箱のような映画です。全編を通して本当に一瞬足りとも気の抜けない映画になっていると思います。1度は言わず、是非2度3度と楽しんで頂ければと思います」

【土屋】「中島監督の作品は3度目なんですが、今回は看護婦の役だと聞いて“よし!今回はいい役だぁ!”と喜んでいたら、案の定“悪魔の看護婦”という事で‥(笑)、今回もキレまくりの演技でした」

【阿部】「皆さんもうお解りだと思うんですけど、僕、結構出てるんです(笑)。何とか彦麻呂(劇中に出てくるキャラクター)に勝ちたいと思っていますので応援よろしくお願いします」

【加瀬】「久々にすごいキャストの方達と劇中劇という変わった事をやらせて頂いて、芝居の楽しさを改めて教えてもらった映画でした」

【小池】「今回監督に一番熱く指導されたのが、“ブゲゲゲー”というセリフの所だったんです。なので本作で初めて、擬音語の素晴らしさを味わいながらお芝居をさせて頂きました(笑)」

【劇団】「昨日実家に帰ったんですけど、その時に母親に“あんた今度映画出るでしょ、あの〜‥“ポニョと魔法の絵本”と言われて‥(笑)、年配の方はどうもごっちゃになってしまうようなので、是非正しいタイトルで周りの方に勧めて頂ければと思います」

【山内】※原作の舞台では同じ龍門寺役を演じる「舞台では“サル!”と叫ぶ場面でドッカーンと笑いが起こるんですけど、映画ではどうでしたか?(会場から大きな拍手が沸く) あぁ良かったです、ならいいです(笑)ありがとうございます!」

【國村】「今回オカマを演じたんですが、本当に楽しく演じさせて頂きました。その楽しさがそのまま皆さんに伝わればいいなと思います。」

【中島監督】「約2年の月日をかけて、やっと本日公開初日を迎える事が出来ました。気持ちも非常に高ぶっています。豪華なキャストの方達のキャリアを台無しにしてしまいそうなメイクやギャグをやって頂いて‥(笑)、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。そして映画初出演にも関わらず小さい体で、明るく元気に、この映画を何倍も楽しくしてくれたパコちゃん役のアヤカ・ウィルソンちゃんには本当に“ありがとう”と伝えたいです」

本作は、1日しか記憶が持たない少女のために、大人達が忘れられない思い出を残そうと奮闘する物語り。MCからキャスト陣に向けて“撮影中の忘れられない思い出は?”という質問が投げかけられると、「素晴らしい映画を創り上げるために、監督がずーっと恐い顔をしてスタッフを怒鳴っていた事が、忘れられない思い出です」と語り場内を沸かせたアヤカ・ウィルソン。これにはさすがに中島監督も「トラウマになっちゃったって事ですかね?!」と慌てふためく一幕もあり、会場は笑いに包まれた。

そして今回、最も印象的だったのが「僕はこの映画の撮影中に死にかけたんです」という、阿部のドキリとするような発言。「池の中からタニシの格好で出てくるシーンがあるんですけど、おもりを着けて潜ってろって監督に言われまして‥、潜ってずーっと待ってたんですけど、スタートの声が全然聞こえないんですよ。いよいよヤバいぞと思って本当に死ぬ寸前で出ていったらみんなポカンとしていて‥。あそこまで(意識が遠くへ)いったのは初めてでした(笑)」と語り会場を笑いに誘った。すると加瀬も「今思い出してみても全ての思い出をかき消す様に、阿部さんの顔しか出てこないですね(笑)。目の前にすると本当にエネルギーがすごくて、セリフも飛んじゃうんですよ‥、本当に残念な思い出です」と語ると、それに続き小池も、「私も阿部さんかなー(笑)。歌のシーンの白塗りのメイクとかね‥、本当に気持ち悪かったぁ〜!」と語り、会場は爆笑の渦に包まれた。

舞台挨拶の最後には、フォトセッションの際にキャスト陣が抱えていた、サイン入りのプレートが観客にプレゼントされるというサプライズもあり、会場は大きな盛り上がりをみせた。最後に主演の役所が「普遍的な優しいテーマがありますので、本当に心から一人でもたくさんの人にこの映画を観て頂きたいと思います」と本作品をアピール。アヤカ・ウィルソンも「『パコと魔法の絵本』、本当に素晴らしい映画です。皆さん是非、たくさん宣伝してください!!」と呼び掛け、最後まで盛況のまま舞台挨拶は幕を閉じた。

(Report:Nozomi SAWAI)