2005年より「週刊ヤングサンデー」誌での連載を開始し、「週刊ビッグコミックスピリッツ」に移動した現在も各界に大反響を巻き起こし、単行本の累計がついに200万部を超えた大ヒットコミック「イキガミ」が、ようやく待望の映画化を遂げた。

8日(月)に、映画『イキガミ』の完成披露会見が行われ、『花より男子 ファイナル』、NHK大河「篤姫」など話題作への出演で今最も注目を浴びる主演・松田翔太をはじめ、共演者の成海璃子、山田孝之、金井勇太、佐野和真と、『樹の海』『犯人に告ぐ』などリアルな人間ドラマを描くことに定評のある滝本智行監督、原作者の間瀬元朗が出席した。

本作は「残りの人生がわずか24時間」であると宣告された人間がどのように逝くのか、そして、その周囲の友人や家族が最期の時をどのように生きるのかを描いた物語だが、“このような宣告を受けたらどうする?”との質問にキャスト陣は、

「愛が感じられる場所に行ってポックリ死にたい(笑)」(松田)、「誰にも心配されたくないから、誰にも言わず、何も残さずひとりで最期の時を迎えたい」(成海)、「“イキガミ”(死亡予告証)食って、酒を飲みまくって急性アルコール中毒に見せかけて死ぬ」(山田)、「今まで自分を助けてくれた人たちに感謝の気持ちを残してから逝きたい」(金井)、「自転車での一人旅にハマっているのでどこまで行けるか試してみたいけど、最期は自分の布団の中で迎えたい」(佐野)と、それぞれ理想の最期を告白した。

主演の松田は自身が演じる“イキガミ配達人・藤本”という人物の役作りに大いに悩んだそうで、「藤本は感情をむき出しにすることもないから、普通でいることの難しさを感じました。 “これでいいのか?”と不安に思った時期もあったんですが、山田孝之くんと夜、居酒屋で飲み明かしていくうちにだんだん何か掴めたような気がしたんです。山田くんの現場でのon/offの切り替えで現場もピリッとするので僕も助けられました」。
成海も「私は撮影参加期間が1週間ほどしかなかったし現場ではあまりしゃべれない方なので、私の兄を演じた山田さんとも3日間言葉を交わせませんでしたが、近くで見ていて刺激を受けたことはたくさんあります」と答えた。

二人からそんなコメントをもらった山田は、「(僕も)二人から刺激を受けました。成海さんはしっかりしているから年齢を聞いてびっくりした。松田くんは本当にこのままのイメージ。食事に行っても急にテンションが上ることもないし、フラットで常に落ち着いているんです。僕と違ってみんな大人だなって(笑)」と苦笑いをして、周囲を沸かせた。

原作者の間瀬氏は、自身のコミックが映画化されることについて、「実は2年前から映画化の話があったんですが、最初の打ち合わせで滝本監督とお会いしたときから“大丈夫だ”と確信したので、自分の原作に対する想いを全て伝えました。命を大事にしようと言われる社会の中で、連日悲惨な事件が起こっていますが、それに慣れてしまっているわたしたちに薄気味悪さを感じてそこを漫画にしてみたんです」と語り、それを受け監督も「原作を読んで感じたのは“リアル”だということ。それはこの国を取り巻く問題の中に潜む怒り、恐れ、絶望といったものが原作のテーマとリンクしたからだと思います。今回はいかにリアルさを観客に伝えるかといった点で、キャストとも話し合い、リアルな作品に仕上げることができたと思います」と自信満々に語った。

その後、松田が「死亡予告証」ならぬ「大ヒット予告証」を掲げてフォトセッションした後、会見は大盛況の中で幕を閉じた。

(Report:Naomi Kanno)