2004年の東京フィルメックスで上映されて以来、海外の映画祭でその話題を提供してきたものの、その過激な内容からなかなか日本公開が決まらなかった柴田剛監督の『おそいひと』。昨年末ようやく日本で劇場公開されるや、いまだに全国順次ロードショー中というヒット作となった。
障害者である住田さんを主人公に、狂気の連続殺人者となってゆく彼の姿をアンチヒーローとして描き、硬質なモノクロームの美しい映像と、聴覚から五感にうったえるノイズミュージックが全編を貫くダーク・ミュージカル映画でもある本作は、北米での公開第一弾としてNY・パイオニアシアターで7月25日(金)〜31日(木)に一週間限定で劇場公開された。
マンハッタンには数多くの映画館がありそのほとんどがシネコンである中、公開劇場となったパイオニア・シアターはインデペンデント映画を中心に上映しているミニシアター系映画館。(東京でいえばさしづめシアターN、シネマ・ロサみたいな感じ!?)
一週間の限定上映でしたが、最終日に見に来ていた観客の方々は、作品の音楽を担当したworld’s end girlfriendのファンということで、ノイズ音楽が好きな方が集まっていた模様。
大阪芸大時代は、同期の山下敦弘監督らとバンドを組むなど、映画監督以前に大の音楽フリークでもある柴田剛監督。今後も音楽がテーマとなっている作品を制作していきたいとのこと。
そんな柴田監督の最新作は、なんとあのジッタリンジンの楽曲をフィーチャーした青春映画『青空ポンチ』。ダークでアバンギャルドな『おそいひと』とは全く逆のベクトルの作品でありながら、愛さずにはいられないちょっとダメな登場人物たちのオフビートな青春を柴田監督がどう描いていくのか要注目の作品だ。
公開は8月2日(土)より大阪・シネマート心斎橋を皮切りに、東京では9月13日よりユーロスペースにてレイトショー公開されます。

※ちなみにまだ『おそいひと』、見逃しているポンチな貴方に朗報!下記劇場にて、現在爆音にて上映されています!

新潟・市民映画館 シネ・ウインド
http://www.wingz.co.jp/cinewind/
●8/2(土)〜22(金)

(Report:Eri Ohno)