映画を愛する二人の男、山下弦(ゲン)と中西秀和。二人はやがてプロデューサーとなり、昔から尊敬していた映画監督を起用し日米合作による大作映画の製作に取り組む。しかし、撮影を目の前にして、大手タレント事務所やスポンサーとトラブルが生じてしまう。映画はクランクインすることが出来るのか?そんな本作はハラハラさせられるものの、近年の日本映画の製作過程について考えさせられる作品である。舞台『WINDS OF GODウィンズ・オブ・ゴッド』の映画版で初監督を務め、現在はキャスティング・ディレクターとしても大活躍している奈良橋陽子監督。2作目となる『Waiting for The Sun 〜天気待ち〜』上映後、奈良橋陽子監督のQ&Aが行われた。

Q:映画をご覧下さったお客様に、伝えたいことはあるでしょうか?
奈良橋監督:皆様、映画をみて下さり、本当にどうも有難うございます。本作中で描かれている多くのことは、本当のことに基づいて描いた、この業界に関しての話です。映画作りをもっと水準をよくしてほしいという思いを込めて作った、セミドキュメントな作品です。

Q:今後、若手の監督を育成するためのお考えはありますか?
奈良橋監督:もっと、若い人たちに投資する人をつくりたいですね。現在日本では、若い人たちにとって、映画を作るためのしっかりした環境が整っていないと思うんです。クリエイティブの時こそ、すぐに映画を作ることが出来る環境が出来ればいいと思います。

Q:日本における映画界でのキャスティングやスポンサーについての批判的な要素が込められた部分が本作には描かれていますが、そのことでなにか問題などは生じたりはしなかったでしょうか?
奈良橋監督:今のところ問題はなにもないです。

Q:今回はワールドプレミアで初の映画での上映ということで、ご感想はいかがでしょうか?
奈良橋監督:この作品はインターネット配信としてパソコン上でみていましたが、今回初めてこのように映画化してみることが出来ました。やはり、インターネット映画と映画では全然違うなぁと感じました。映画の映像が綺麗でびっくりしました。

Q:日本における映画のキャスティングについてどのように思っているでしょうか?
奈良橋監督:若い人たちへのチャンスを与える機会を日本ではもっと増やしていったほうがいいと思います。有名な俳優さんたちをキャスティングするのは、演技が上手であるからいいとは思いますが、アメリカでは必ずキャスティングする時はオーディションを行っています。もっと若い人にチャンスを与えて欲しいです。

Q:今回の撮影をするにあたってのエピソードは?
奈良橋監督:そうですね、今回の作品もお天気に恵まれたことですね。私の名前は、太陽の「陽」という漢字を使っている「陽子」という名前なのですが、前作の『WINDS OF GOD ウィンズ・オブ・ゴッド』の撮影の時もずっと晴天でした。本作のラストのシーンの時も、そのシーンを撮る予定の前日までは雨が降っていましたが、奇跡的に晴天になって撮影することが出来ました。

Q:本作の中で、お金をかけたからといって良い映画が作れるとは限らないというようなメッセージがあるような気がしたのですが、その点を監督はどのようにお考えでしょうか?
奈良橋監督:お金をかけて映画を撮ることは良いことだと思います。でも、お金というより、作品に対して何を言いたいのか?これは絶対に伝えたいというものがあれば良いと思います。前作の『WINDS OF GOD』は製作するのに5年かかりましたが、製作中は「作ることが出来ない」と思ったことはありません。本当にやりたいと思ったら、信じれば出来ると思います。

奈良橋良子監督の映画『Waiting for The Sun 〜天気待ち〜』は、映画への純粋な思いを描き出し、多くの映画ファンに捧げられた一作となっている。

(Report:大倉真理子)