短編コンペ「覗」「大地を叩く女」「シュアー」の作品がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2008にて上映された。「覗」は、単身ソウルにやってきたビジネスマンが、宿泊先のホテルで奇妙な映像にのめりこむ。現実から逃避したい瞬間は誰にでもあるが、境界線を踏み越える危険に恐怖を感じる仕上がりとなっている。「大地を叩く女」は、寂れた商店街の肉やでヒレカツ用の肉を叩く女。色褪せた日常の中で、色鮮やかな妄想を描き、彼女はリズムの中で生きていた。そのリズムが、彼女の奥深く眠っていた何かを目覚めさせ、そして解き放っていく・・・。「シュアー」は、かつてシンガーを目指していたマドカにとって、いつしか夢を諦めてしまった過去の自分は、忌まわしく忘れてしまいたい存在になっていた。そんなある日、ふとしたきっかけで置き去りにしていた過去の自分と対話することに・・。
短い時間の中で非常に内容の濃い作品となっている短編コンペの3作品である。「覗」の作品の吉井和之監督・「大地を叩く女」の作品の井上都紀監督・「シュアー」の村松英治監督、本作に出演するneko★、大山竜一が勢揃いし舞台挨拶を行われた。

Q:本作品の作った意図とは何でしょうか?
吉井和之監督:「まず東京藝術大学の日韓共同としてつくる課題としてつくることになりました。韓国のソウルで、韓国の学生と一緒になり作りました。」
井上都紀監督:「本作の主演のグレイスさんは、女性プロドラマーです。そんなグレイスさんの存在感やパワーを映像化し、表現したいと思ったからです。」
村松英治監督:「江ノ島に行った際に、アコースティックライブをやっていてneko★さんの歌っている姿をみて、そのneko★さんの歌う曲を基にした映画を作りたいと思ったからです。」

Q:「シュアー」に出演してみていかがでしたか?
Neko★:「村松監督に最初会った時、『映画に出てみませんか?』と言われ、素性も知らない人だったので、『この人は大丈夫なのか?』と疑いました(笑)。でも、作品に出演することが出来てよかったです。本作の撮影中に自分の身の周りで色々なことがあったので、本編をみるとその当時のことを思い出して胸が熱くなりました。」
大山竜一:「脚本をもらいみた時、内容が心温まる感じがしました。共演したneko★さんは、とても温かい雰囲気を持った人でした。そして、今回は監督にどれだけ協力できるかが僕の課題でした。」

Q:(吉井監督へ)日本と韓国との共同制作ということでなにか受け入れられなかったことや、違ったことはありましたか?
吉井和之監督:「特に(受け入れられなかったこと)はなかったです。違ったことは、日本の撮影ではご飯を食べる時、ロケ弁などのお弁当でご飯を食べるんですが、韓国では皆で食堂に行ってたべることです。『冷めたご飯から、いい映画は作れない』ってよくいいますよね。」

Q:(井上監督へ)女性として共感できる部分が本作には沢山詰まっていると思いますが、この作品に特にこめられたことはありますか?
井上監督:「もともとバイオレンス的な、エロティックなところを描きたかったわけではなく、作品に出ている登場人物の行動と心情をリンクさせたかったんです。普通の男性と女性のことを描いているつもりです。」

Q:(neko★さんへ)「シュアー」ではご自分で書いた曲を歌われていましたが、どのように音楽を普段作っているんですか?
Neko★:「(歌を作るとき)意外に何も考えないで、鼻歌のようにふと作っています。普通はメロディーや歌詞をバーっと書いて作る人が多いと思いますけど。曲を書きたいなという衝動に駆られると作りますね。

Q:今度どのような作品を作っていきたいと思いますか?
吉井和之監督:「色々なタイプの監督と組んで作るのが好きなので、ジャンルもメディアも問わずに色々とやってみたいですね。」
井上都紀監督:「私は自分で脚本を書いてやっていくので、自主映画ならではの強みを出して、1つ1つの作品を大切にして今後も作って行きたいです。」
村松英治監督:「まだ全く発表は出来ませんが、長編をとる予定はあります。」

Q:出演していたお二人は今度どのような活躍をしたいと思いますか?
Neko ★:「お仕事としては。一応カバーアルバムを今度出す予定です。長年の夢の、自分のCDが作れればと思います。」
大山竜一:「普段は舞台中心なので、今後は映像やドラマやアーティストのPVなど、役者として広く関われるような俳優であればと思います。」

(Report:大倉真理子)