オダギリジョー主演映画『たみおのしあわせ』がいよいよ7月19日に公開される。
そして公開より一足早く、16日オリジナル・ラジオ番組「岩松了のしあわせコンシェルジュ」の公開収録を兼ねたJ-WAVE主宰の試写会が行われ、なんと、オダギリジョーがサプライズで登場した。

このラジオ番組「岩松了のしあわせコンシェルジュ」は、6月から『たみおのしあわせ』オフィシャルサイトにて、オリジナル・ラジオ番組として、監督の岩松了をメインに、リスナーの人生のお悩みを聞いちゃおう、というコンセプトのもと放送している。
岩松了ならではの鋭い人間観察と長い舞台経験を生かし、リスナーの人生相談に答えるアドバイスが好評で、日に数千の訪問者があれば及第点と言われる公式サイトで、一日に1万人のアクセスがあり、比例として劇場の前売券も連日二桁を売り上げ、好調に推移している。

そして、昨日行われたJ-WAVE主宰の試写会でのラジオ公開収録で、オダギリさんの登場を事前に知らせれていなかった観客は、突然の登場に悲鳴にも似た歓喜の声で会場全体が大きな盛り上がりを見せた。

MC:いきなりではありますが、この作品の見どころは何でしょうか?
岩松:オダギリ君が、すごくかっこいい役者さんなんですけど、そんなかっこよくないというところが見どころじゃないかなと思います。

MC:「時効警察」が始まる以前に、監督としては、この作品はオダギリさんで、と決めていましたか?
岩松:はい。オダギリ君と原田芳雄さんにオファーをして、OKをもらって進みそうになったんですが、一度ぽしゃりまして、それが麻生さんにオファーしたいと思っていた矢先だったんです。もうこれで撮れないのではと思っていたんですけど、スタイルジャムさんに拾っていただいて、また復活したその境目に時効警察が始まったんです。

MC:そういう事情があったんですね
岩松:それで、麻生久美子さんにも声がかけやすくなったという経緯があったんです。何度と言っていますが、「時効」より、本作の方が先なんですよね。

MC:オダギリさんと原田さん、というキャスティングの重要性は何だったんですか?
岩松:基本的には一緒に仕事がしたかったというのがあります。原田さんに対しては憧れがありましたし、オダギリ君は時々芝居を見に来てくれたりしていて、仕事をご一緒したいと思って声をかけて、また時効警察で一緒になっているので、すごく友達になり、余計にじみでる感じで付き合いができて、撮影にはいれて良かったです。

MC:本日、監督の入りがぎりぎりになる、ないしは少し遅れるかもしれないという事情もあり、もう一方、ゲストを紹介させていただきたいと思います。あなた達は本当にラッキーです。主演のオダギリジョーさんです。実は、本日オダギリさんがいらっしゃるということを全く聞かされてなく、急きょ、こういう形になりまして、あがっています。本日はありがとうございます。
今監督から、このたみおの役はオダギリさんだと早い時期で決まっていたと伺っていますが、最初に監督から話があったとき、ないしは本を読んだ時はどういう感じでしたか?
オダギリ:「時効警察」の前だったので、「時効警察」がもう二年前、結局岩松さんとこの映画の話があがったのは、三年か四年前だったので、どういう感じか、正直忘れました(笑)。原田さんと親子という役で、原田さんとしっかりと芝居ができるということは、一度やってみたいと思っていたので、それが叶うということで、すごく嬉しかったですね。

MC:岩松さんは、現場で監督として、どうでしたか?
オダギリ:監督は楽しそうでしたよ。現場で楽しいと言っていましたし。今まで岩松さんの舞台しか見てこなかったですし、仕事としては役者として共演という形で、「時効警察」で監督を一度された時、それと本作の現場だったんですけれども、役者の時の空気と違いますね。こっちから暇だからと喋りかけても悪いし、くだらない話もできないし、みなさんが「監督ここどうします?」と聞きにきますから、僕がそれを邪魔している場合じゃない、と控えめにしてました。

MC:悩みに悩んでる、というよりは、楽しそうに?
オダギリ:毎日日に焼けてどんどん黒くなるように、毎日ちょっとずつちょっとずつ楽しそうな顔をしていたかと思いますよ。楽しかったですか?
岩松:楽しいですね。常々言っていますけども、舞台に比べて映画のなんと楽しいことか。

MC:脚本をお書きになっている時、どういう風な世界観を思い描いていたのでしょうか?
岩松:基本的には、母のいない父子の二人の関係を中心に考え、その親子関係が面白い、というのがスタートにあります。「結婚」とかについて描いているわけでもないし、「幸せ」についてそんなに考えているわけでもないし、父子がいて、こういうことになっているけども皆さんどう考えますか、みたいな感じだと思うんですね。基本的に人間は絶対的に視野は広くもてず、家庭という小さい社会を例にとって、人が多くを見通せないという定めをそこに代用させて、映画を見ている分には笑ってくれていいいですけど、みんな似たことやっているよね、という話だと思いますね。

MC:岩松監督は、「たみおのしあわせ」公式サイト上で、「しあわせコンシェルジュ」というWEBラジオをやっていらっしゃいまして、せっかくなのでここでリスナーから届いた質問を一つ二つ、お二人にお答えいただきたいと思います。

リスナーネームたみーさん:つい本心を隠す癖があります。がっかりさせられても、とっさに平気なふりをしてしまい、その時素直にがっかりと言えたほうが素敵だと思うのに、どうしたら素直になりますか?

リスナーネームりこしさん:はじめまして25才女性です。最近気づいたのですが、私は素直ではありません。好きな人に好きと気づかれたくないのです。最終目的が自分でもどこにあるのか分かりません。どうすれば素直になれますか?

オダギリ:お二方に共通して、自分を守っている感じがしますね。

MC:ご自身は、例えば、がっかりさせられた時に、がっかりしたと素直にだすタイプですか?
オダギリ:そうですね。僕はだすタイプかもしれませんね。基本全てのことに対して、どうでもいいと思っているんですよ。それは他人に対してもですし。だから、がっかりさせられたということに対して、それも含めてどうでもいいんですよね。その人がどういうことをしてもそれは間違いでもないですし。

MC:そうなるとこの質問に答えることもどうでもいいですよね?
オダギリ:そこまで言っちゃうのもちょっと…(笑)。きっと、皆さんちょっとしっかりしすぎているのではないかなと思います。どこかで人間諦めるというか、他人に期待しないという意味だったり、自分自身にも期待しなかったりとか。世の中そんな大したことも起きてないし、自分が起こすわけでもないし、全てのことがどうでもいいんじゃないかなと思います。

MC:今の意見も受けて、監督はいかがですか?
岩松:基本的に僕もそういうスタンスだと思います。例えば蛭子能収さんって方は、どちらかといえば、あ〜がっかりした、と言うほうなんですよ。それがむかつくんですよね。ある時、舞台にでていまして、その時中央公園に行って真剣にビリヤードをやったことがあるんです。蛭子さんはやってないんですよ。僕は他の人とやっていて、負けたんですね。負けるとすごく悔しいゲームだったんですけど、負けた僕の顔の前に、「負けましたね。」と顔をだすんですよ。ほとんど殺意を覚えました。だから人っていうのは、言いたいことが言えないところから始まっているんですけど、言いたいことを言えちゃうっていうこの失礼さを、なんとか払拭したいなと。言いたいことを言えない、それが、プライドをもった人間の本来のスタイルだと思います。そこがとんじゃっている人間はほとんど蛭子族ですね。ちょっとムカつくんです。お父さんのお葬式の時、笑っちゃった人ですからね。

MC:もう一通、リスナーネームゆっきょんさん:お二人にとって幸せな仕事とはなんですか?
オダギリ:難しい質問ですね。どんな仕事をしても、幸せを感じられるのかが疑問です。

MC:仕事に幸せはあるのかということですか?実際に役者という仕事では?
オダギリ:楽しいということはありますけど、幸せだな、と感じることはまずないですね。

MC:極論では、幸せな仕事はないかもしれないですか?
オダギリ:ないという立場をここでだしておきます。

MC:よく二択で答えがでないといらついている人がいますけども、なんで二択にするんでしょうね?
岩松:その重なっているところに妙味があるわけですよね。重なっていないっていうのは紙っぺらと一緒じゃないですか。
オダギリ:岩松さん、すごいですね。このコーナー人気でますよ。的を得てるというか、目からうろこの答えがよくでますね。

MC:それでは最後に、お集まりの方々に一言ずつメッセージをお願いします。
オダギリ:こういう形の日本映画は久しぶりに観た、と僕の価値観ながら思える、最近にはない映画です。試写会なので、これから観ていただく方々ですから・・・申し上げることは特にないです。笑(観て判断してくださいね、の意)
岩松:僕の願いは、映画のことを周りに広めてほしいので、面白かったとか面白くなかったとか、何でもいいので僕らがやっていることを伝えてもらって、公開された折には、映画館は皆さんを拒まないので、そんな風に広がっていけばいいなと思っております。