2003年に20歳という若さで鮮烈な芥川賞デビューを果たした金原ひとみの原作を、金原直々のラブコールを受けた72歳の奇才・蜷川幸雄監督が映画化!!
15日(火)、映画『蛇にピアス』完成報告会が行われ、本作が映画初主演でヒロインを演じた吉高由里子、共演者の高良健吾、ARATA、原作者の金原ひとみ、蜷川幸雄監督が姿を見せた。

「こうして若者たちと一緒にいると自分が保護者になったようだ」と笑うのは蜷川監督。この作品を映画化する前にすでに原作は読んでいたそうで、「読みながらいろいろなイメージが頭の中に湧いてきておもしろかったですよ」とコメントし、自らがメガホンを執った経緯として「仕事でロンドンへ行ったとき、イギリスの若い監督の何人かが「蛇にピアス」を撮りたがっているという話を聞いて、“イギリス人に渡すものか!”と思ったんです(笑)」と明かした。

それを聞いた原作者である金原は「私は蜷川さんの舞台を10年前から見ていたし、とてもすばらしい世界を作り出せる人だと知っていました。だから映画化の話が来たときに“蜷川さんならいいよ”と言ったんです。出来上がった作品を観ましたが、見事に蜷川ワールドに引き込まれてしまいました」と大絶賛。

これまでにも藤原竜也、小栗旬、“嵐”の二宮和也など、舞台・映画を通して数多の金の卵を発掘してきた蜷川監督の新たなるミューズとして選ばれた吉高は、ヌードやベッドシーンにも体当たりの演技で応えた。
「実はこの役が決まってから交通事故にあってしまったんです、私。気がついたらICUに入れられていて、そこでは今まで感じたことのない感情をいっぱい感じました。生きていることが当たり前だと思っていたときにこういう出来事があったので、本作への出演を後押しされた感じです。それに地球が46億年生きている中で、私の人生なんて地球のため息くらいで終わっちゃう。そんな中、誰かに必要とされているなら自分の全てを捧げようかな、と思ったんです」

そう語る吉高に、「最初はぐにゃぐにゃしていて変な子だと思ったんですが、内にはストイックさや真摯さがあると気づき、早くから“この役は吉高しかいない”と感じていました。彼女のひたむきな姿に現場のみんなも動かされていましたよ」と、蜷川監督も太鼓判を押した。吉高は「監督はすごく愛の強い人です。作品も根っこから愛しています。吸い込まれそうで、見透かされているようで、コワイ人ですよ〜(笑)」と蜷川監督をちらり。
高良とARATAもそれぞれ、「監督からは“好きな芝居、得意な芝居ばかりするな!”とか、“恥知らず!!”とか言われましたね。まぁ、その通りだと思いましたけど(苦笑)」(高良)、「監督とはきっと毎日けんかすることになるんだろうなと逆に張り切っていたんですが、初日から監督は自分の弱いところを見せたんですよ、僕たちに。余計な力が入っていた僕たちをリラックスさせてくれたんです」(ARATA)と、怖い監督として有名な蜷川監督とのこんなエピソードでマスコミを沸かせた。

最後に、本作で登場する“麒麟”と“龍”をイメージした絵が書かれた巨大パネルに、吉高と蜷川監督が眼を筆入れし、本作のヒット祈願をして幕を閉じた。

(Report:Naomi Kanno)