今年17回目を迎える東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の特別後援を受けることになった本作『後悔なんてしない』は、韓国で公開されるやいなや韓国インディペンデント映画の動員記録を塗り替え、社会現象まで巻き起こした問題作。監督のイ・ソン=ヒイルも、韓国で初めて自分が同性愛者であることを公表した人物であることも話題となっている。
11日(金)、本作で衝撃的なデビューを飾った主演のイ・ヨンフンが来日、多くの観客で賑わいを見せる新宿バルト9で、本作上映後に舞台挨拶を行った。
司会:マーガレット(ドラッグクイーン)

マーガレット:けっこう過激なシーンもあるけど、この映画に出演したことを“後悔”してない?(笑)
イ・ヨンフン:後悔したことはありませんよ。シナリオを読んだ時点では情事や、キスシーンが多かったのでかなり悩みましたが、監督とは過去にも一緒にお仕事した経験があるので信じて引き受けました。

マーガレット:イ・ソン=ヒイル監督自身は同性愛者であることを公表しているけど、監督とはデキてたりするの?(笑)
イ・ヨンフン:監督が僕のことを追いかけ回しているだけです(笑)

マーガレット:よく自分の魅力わかっているわね。
イ・ヨンフン:ゴメンナサイ……(日本語)

マーガレット:監督とはこれまでにも何度かお仕事しているそうだけど?
イ・ヨンフン:はい。20歳の頃に『グッドロマンス』という短編で起用していただき、僕が軍隊から戻ってきてからもこの作品(『後悔なんてしない』)で声をかけていただきました。現在も監督の新作『脱走(仮題)』の撮影真っ只中です。

マーガレット:監督との仕事はやりやすい?
イ・ヨンフン:今は気楽にやっていると思いますが、『後悔なんてしない』の撮影のときは監督も初の長編作品だったし、僕もまだまだ新人で緊張していましたね。

マーガレット:撮影中、一番イヤだなって感じたシーンは?
イ・ヨンフン:たくさんありました(苦笑)。僕は釜山映画祭で初めて本作を観たんですが、撮影中では長く感じなかった裸になってプールで泳ぐシーンが、観ていると妙に長く感じました。それが恥ずかしくてたまらなかったです。お尻も真っ白だったし……。

マーガレット:もっと見たいくらいよ! あと30分くらいあってもいいわ。それに、あのお尻がかわいいんじゃない!
イ・ヨンフン:アリガトウゴザイマス……(笑)。

ここで突然ケータイ電話の音が場内に鳴り響き──
場内がざわめく中、突然“誰か”と話始めるイ・ヨンフン。電話の声の相手はなんと、共演者のイ・ハン。撮影が押してしまって予定していた本日の舞台挨拶に立てなかったのだ。イ・ハンが電話口から「この映画はどう? 好評ですか?」と呼びかけると、場内からは割れんばかりの大きな拍手が鳴り響いた。
イ・ハン:本作は難しい題材でしたが、皆さん楽しんでくれてありがとう。今日は行けなくてごめんなさい。明日は来日しますのでよろしくお願いします。サヨナラー(日本語)。

イ・ハンとの生電話という頼もしい演出と、イ・ヨンフンとのトークセッションで観客たちも熱狂、大盛り上がり。
そして今回この映画祭の舞台挨拶に登壇するため、ギリギリまで韓国で新作の撮影を進め、タイトなスケジュールの中でも笑顔で本作のPRに励むイ・ヨンフンに感謝の意味も込め、観客たちが一斉に「サランヘヨー!!」と愛のメッセージを投げかけると、それに応えるかのようにイ・ヨンフンも「I love you」とほほ笑み返し、うれし恥ずかしそうに会場を後にした。

【東京国際レズビアン&ゲイ映画祭】公式HP
★来日中のイ・ヨンフンを現在進行形でレポート中のブログも展開!!
『後悔なんてしない』公式HP

(Report:Naomi Kanno)