ベトナム戦争時米軍占領下の沖縄を舞台に、時代に翻弄される家族の絆を描いた感動作『ハブと拳骨』の初日舞台挨拶が21日(土)に行われ、主演の尚玄、虎牙光揮、宮崎あおい、中井康友監督らが登壇した。

東京国際映画祭2007コンペティション部門ノミネート、そしてゆうばり国際ファンタスティック映画祭2008フォーラムシアター部門に正式出品され、多くの観客に絶賛された本作が撮影されたのは3年も前のこと。ここまでの道のりを監督は、「長かった、ここまで。やっとこれからまた新たな戦いができるのかなぁと思います」とコメントし、尚玄も「時間は大分経ってしまったけど、僕にとっては最初の長編映画だったので鮮明に覚えています」と感慨深げに語った。その中でも特に、「血のつながりのない兄弟と、石田えりさんが演じる母との家族のシーンが強い絆を感じるから好きだ」と言う。

真っ赤なかわいらしい衣装で観客の視線を釘付けにしていた宮崎が、「お芝居だけど本物の家族のような気がしました。普段からみんな仲がいいので楽しかったです」と笑顔で語ると、虎牙は「正直あまり仲良くはないですけど……、いや、実際は仲良しです(苦笑)」とツンデレ発言で会場を沸かし、良(尚玄)と杏(宮崎)と銀(虎牙)の母カミィを演じた石田えりについて「しっかりと僕ら3人を受け止めてくれて、撮影初日から“お母さん”って感じでした。えりさんじゃなかったら……と思いますね」と、この日は欠席だった石田を信頼しきった様子で語った。尚玄も「(石田さんのことは)あつかましいと思いながらも、いつも“母ちゃん、母ちゃん”と呼んでいましたけど、えりさんはああ見えてひょうきんな方なので楽しかったです」と石田の意外な一面を明かした。

最後に、この日駆けつけた観客たちに一言ずつメッセージを投げかけた。
「出来上がって、本当に感無量。プロデューサーはじめ、みんなうるさかったけど、こうして公開までこぎ着けられてうれしいです。俳優陣もかわいい子供のようにじゃれてくれ、毎日がワイワイ、ガヤガヤと修学旅行みたいでした。今日は本当に来てくださってありがとうございます!」(監督)

「監督も言っていたけど、感無量で感謝しかありません。本作を観て、何か受け取っていただけたらと思います」(尚玄)

「本作で登場する家族は血のつながりのない少し複雑な家族ですけど、血のつながり以上に強いものを感じていただけるんじゃないかと思います」(宮崎)

「全てのシーンに対して思い入れが強すぎて、多分語りだすと本編以上のことを言ってしまうので、皆さんには無の状態で楽しんでいただければと思います」(虎牙)

最後、劇場を後にするときに観客たちから手を差し出された宮崎が、丁寧に一人一人と握手を交わす姿はとても印象的だった。

(Report:Naomi Kanno)