2008年9月13日公開予定の映画『おくりびと』の完成記者会見と完成披露試写会が都内で行われた。
本作は遺体を棺に納める“納棺師”をユーモア描く感動作だ。

チェロ奏者だった主人公がひょんなことから次の職に選んだ“納棺師”。主人公を熱演したのは本木雅弘さん。主人公の妻役に広末涼子さん。ベテラン納棺師を演じた山崎努さん。監督は映画『バッテリー』などを手掛けた滝田洋二郎さん。脚本は小山薫堂さん。音楽は映画『風の谷のナウシカ』などの久石譲さん。キャストもスタッフもこだわりの作品だ。

記者会見では本木さんの演技に対する勤勉さが浮き彫りに。広末さんは「撮影を終えてホテルの部屋に戻ると必ずチェロの音が聞こえてくるんです。本木さんが毎晩撮影の後に練習されているのだなと。本木さんのその熱意には圧巻でした。」と尊敬のまなざしで語り、山崎さんは本木さんを「専門家が彼は俳優がダメになっても納棺師になれると言っていました。お墨付きです。」とべた褒めした。

完成披露試写会では久石さんが音楽のこだわりを語った。「主人公がチェロ奏者なら、全編チェロでいこうとひらめきました。12人のチェロ奏者が演奏の中心になっています。このチャレンジを滝田監督に理解してもらったこと、心から感謝しています。」と目じりにしわを寄せた。

本木さんは「チェロ奏者と納棺師の役柄を演じ、驚きにあふれた新鮮な体験をしました。誰もが多かれ少なかれ、別れを経験しています。自分の経験と照らし合わせて見ることができる作品だと思います。」と作品を振り返った。

自分が死んだらどんな風に送られたいか。会場が一番盛り上がった回答をしたのは小山さんだ。「僕は人を驚かせるのが大好きなので、自分が死ぬ前にハート型の硬い金属なんか飲み込みます。灰になったときにハートだけ残って、参列者が“やっぱりこの人優しい人だったんだ”と言われたら嬉しいなと思います。」と会場を盛り上げた。

最後に滝田監督は「私の映画の師匠である向井寛監督も天国に召されてしまいました。この映画を贈りたいと思っております。」と挨拶した。

あの世への旅立ちは誰もが通る道。生と死を少しユーモアに見つめなおすなら、映画『おくりびと』を参考にしてみては?

(Report:Hiromi Kato)