昭和晩年の佐賀県唐津市を舞台に、人間味あふれる人々に見守られながら強い絆で結ばれた母と子の物語を描いた映画『春よこい』。
佐賀県で先行上映された本作が、いよいよ7日(土)に公開。初日舞台挨拶では、ハリウッドからも高い評価を受ける国際派女優で本作の主役・工藤夕貴と、『オリオン座からの招待状』『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズなどで天才子役としての呼び声も高い小清水一揮、本作の監督を務めた三枝健起が登壇した。

満席の場内を見渡した監督はまず、「本日は派手な映画の公開日と重なってしまったので心配でしたが、マスコミの方もたくさん来てくれてうれしい」とホッと肩をなでおろし、工藤も「こんなにたくさんの人たちに来ていただいて心から感謝しています。この話は、去年ちょうど『L change the WorLd』を撮っていたときにいただいたんですが、台本を読んで涙が出てしまいました。素直に感動して、その感動を形にできたらという想いで参加させていただいたんです。こういう地味めな映画は口コミが大事なので、皆さん10人くらいにすすめてください!」と笑顔でアピールした。

しばらくアメリカで女優業をしていた工藤にとって久々の主演作になったわけだが、「日本に戻ってきてから、“自分の子をもっと抱きしめてあげてください”というCMを見たときは愕然としました。毎日暗いニュースばかり目にしますが、人間が育つ場所は家庭です。やっぱり家族が基盤だと思います。(映画で描かれている)親子の愛を日本中に広めていけたらいいですね」とコメント。そんな工藤の計らいで、当日は“親子招待席”というものも設けられた。

その後、子役の小清水がちょっと緊張気味にあいさつをするのを心配そうに見ていた工藤が、「みんなに見てねって」と耳打ちし、助け舟を出すも「みんなに見てね……?」とそのまま言ってしまい、その愛らしさが会場から優しい笑いを引き出した。しかし、演技に関しては監督が太鼓判を押すほど。「彼は『オリオン座からの招待状』でも起用しましたが、本作でもキャスティングの段階で一番最初から決めていました」。
工藤も「この子には愛情を受け止めてくれる土台があるとわかったので、初日から自分の本当の子のように思えました」とほほ笑み、「撮影中、小清水くんに女の子のタイプを聞いたら、“離婚しても損害賠償を求めない人”という返事が返ってきたので、結婚するときは小清水くんに相談しようと思いました(笑)」というびっくり発言で、天才子役の少しませた一面を暴いてみせた。ちなみに、今でも小清水くんのタイプの女性像は変わっていないという。

また、この日は初日を記念して工藤と監督による劇場前での鏡割りが行われ、街行く人たちにお酒を振舞う二人の姿も見られた。同時に、映画の舞台となった佐賀の名産物サンプリングイベントも催され、たくさんの人たちが足を止めて本作に興味を示していた。

(Report:Naomi Kanno)