6月7日(土)、苦しみを乗り越えて生きる夫婦の10年を描くラブストーリー『ぐるりのこと。』が初日舞台挨拶を行った。

本作上映後、観客の前に現れたのは5人の登壇者。前作映画『ハッシュ!』でカンヌの話題をさらった橋口亮輔監督、映画初主演にしてリアルな夫婦を熱演した木村多江さんとリリー・フランキーさん、そして同じく夫婦役で登場した寺島進さんと安藤玉恵さんが登壇。
観客に作品への思いを語った。

橋口監督は「いろいろあるけど頑張ろうかなと思ってもらえたら。映画ってそんなにたいしたことは伝えられないと思っています。一個か二個何か思って頂けたら、それだけで充分です。」と言葉を選ぶように語った。
木村多江さんは「私はこの映画の完成を見て、人とつながるっていいなあと思いました。皆さんの“『ぐるりのこと。』”を持ち帰って頂けたらと思います。」と落ち着いた口調ながら熱く語った。
リリー・フランキーさんは「人との接し方が変わりました。幸せなものをたくさんくれた映画です。」と真剣なまなざしで訴えた。
寺島進さんは「橋口監督は本当に演出がうまいというか、お芝居がうまいというか、すごく明確で粘り強い監督だなと思いました。」と絶賛。
安藤玉恵さんは「完成した作品を見て、感動しました。そのあと橋口監督に手紙を送ったくらいです。」と笑みをこぼした。

その後スペシャルゲストとして放送作家の秋元康さんが登場。「人間の幸せと不幸せは表裏一体です。見事な演出ですばらしいです。こんなに丁寧に作っている映画も久しぶりだと思います。」と力強く応援。
それを横で感極まった様子で聞く橋口監督。最後の挨拶も思わず声が震える。「出演者の方々が盛り上げてくれて、本当に感謝しています。ひたむきに生きる人がせめて映画の中だけでも救われればいいと思います。」と涙ながらに語った。
橋口監督自身がうつになった経験が活かされた物語。6年ぶりのオリジナルの新作。初日に満員の観客席。色んな感情が込み上げたのだろう。
舞台挨拶が終わると、大雨のように大きく長い拍手が登壇者を包んだ。

(Report:Hiromi Kato)