日本のエンターテイメント界のトップを走り続ける三谷幸喜が『THE有頂天ホテル』から2年、満を持して贈る待望の監督第4作目は『ザ・マジックアワー』。
舞台は、港町・守加護。知らないうちに“伝説の殺し屋”となってしまった売れない俳優<村田大樹>。映画の撮影だと思い込んでいる彼は、大胆不敵にもゴム製の拳銃片手に本物のギャングたちと渡り合うことになるのだが……

29日(木)、映画『ザ・マジックアワー』のイベント試写会が開催され、主演で売れない俳優<村田大樹>を演じた佐藤浩市と、三谷幸喜監督が舞台挨拶を行った。本試写会には、告知の10倍の人数、なんと7000通もの応募が殺到!! 見事選ばれたラッキーな観客たちの前に現れた三谷監督は「(佐藤浩市と三谷幸喜で)Wコーチャンでーす!」と自己紹介し、のっけから観客の笑いを誘った。
「三谷さんは前の作品ではあまり目を合わせてくれなかったけど、キャンペーンで中は一緒にカラオケに行ったりしました」と佐藤が語ると、三谷監督は「俳優とカラオケに行くなんて妻(小林聡美)以外は初めて」と笑い、「佐藤さんは熱い人で、一晩中、演技論を語られたんです。うざかったなぁ……。そのときに佐藤さん、“深夜、帯でバラエティ番組やりたい”と言ってましたね(笑)」と明かすと、どっと笑いが起こった。

その後の上映は無事終了。観客の熱のこもった拍手と声援の中、三谷監督と、劇中の殺し屋<デラ冨樫>のメイクを施した佐藤は、音楽を担当する荻野晴子と共に再び登壇。
佐藤は劇中の長せりふを暗記し、朗読をしながらシンバルを叩き、三谷監督は一人でリコーダー、ピアニカ、パーカッション全てを担当、荻野氏はピアノで二人をサポートしながらテーマ曲の演奏が行われると、観客は身を乗り出し聴きいっていた。途中、三谷のピアニカのテンポがずれてしまうというアクシデントもあったが、観客の手拍子で見事乗り切った。

佐藤は「(今の気持ちは)サイコーだよね!」と満面の笑みを浮かべ、「人を笑わせたり、幸せにしたりする喜劇は最高峰だと思います。三谷監督は“脚本は役者へのラブレターだ”と言うけど、僕は“果たし状”だと思いました」と告白。「この役を演じるにあたって、夜中に洗面所でナイフを舐める練習をしたんですけど(本作を観てのお楽しみ)、つくづく役者って滑稽だな〜と思いましたね。僕なりに必死にやったけど、満足でしたか?」と客席に呼びかけると、観客たちはいつまでも拍手を送り続け、試写会は大盛況で幕を閉じた。

※タイトルにある「マジックアワー」とは、映画の専門用語で、夕暮れのほんの一瞬のこと。一日のうちで世界がもっとも美しく見える瞬間だという。

(Report:Naomi Kanno)