芥川賞・直木賞の創設者でもある菊池寛生誕120年、没後60年に贈る文芸大作『丘を越えて』の舞台挨拶が、公開中である24日(土)に行われ、主演の西田敏行、池脇千鶴、高橋伴明監督、主題歌のつじあやの、原作者で(「こころの王国」)現在、東京都副知事でもある猪瀬直樹が登壇した。

猪瀬:原作を書いていた時から、菊池寛のイメージは西田敏行と決めていて、西田敏行さんの顔を思い浮かべながら原稿を書いていました。ライター、編集者の養成講座の講師を頼まれまして、20代後半の女生徒に今度の映画で池脇さんが出ると言ったら、『ジョゼと虎と魚たち』で7割くらいの女生徒が知っていると答えて、だからあの層には相当に池脇ファンがいるんだなと。映画は、原作よりいいものを作って下さった高橋監督に感謝しています。職人的な腕の良さがいいなぁと思います。ものすごく昭和初期の雰囲気を出していただいて感謝しています。

つじ:“丘を越えて”という色んな人の希望や夢をのせた歌なんですけど、映画を拝見した時に、夢や希望や不安もあるけど、頑張っていこうという気持ちが溢れている作品だなぁと思いました。そんな映画の主題歌を歌えて幸せです。ありがとうございます。

高橋:西田さん、池脇さん、西島君といった役者の姿を毎日見るのが楽しかった。改めて思いましたが、映画はやっぱり役者ですよ。監督なんか何でもいいんですよ。身に染みて分かりましたね(笑)。これは、今までに一番楽しかった現場です。

西田:撮影が終わった後の一杯がこんなに美味しかった現場は最近ではちょっとなかったですね。そういった点では、撮影が終わったら「今日は飲もうかな」みたいなね。あと2カットで終わりだと思ったら、そういう事ばかり頭を巡っていましたね。(菊池寛を演じるにあたって)気をつけたのは、私自身が痩せやすい体質ですので体型維持ですね(笑)。体型を維持するために頑張りました。劇中での菊池寛の役割としては葉子(池脇)を想う気持ちがあるんですけど、その気持ちを大事に大事に、俳優・西田敏行も女優・池脇千鶴に恋慕の気持ちを持ちながら、携帯のメールアドレスを教えてもらったりしました(笑)。

池脇:はい、(メールは)しょっちゅうさせていただいております(笑)。(西田さんは)凄い褒めて下さって、やっぱり褒められると嬉しくて自信がつくので、のびやかに演技できました。(撮影では)台本通りにやったに尽きるんですけれど、慣れないハイヒールからどんどんスマートに振舞えるようになっていく。そして、社長秘書として恥ずかしくない振る舞いをしていくという点は気にしながら演じていましたね。監督が「こうしろ、ああしろ」と導いてくれたので、その通りに演じました。私たちが楽しんで作った『丘を越えて』です。みなさんも楽しんでご覧になって下さい。