昨年12月わずか7館から公開をスタートした映画『JUNO/ジュノ』。
アメリカの中西部を舞台に平凡な町に暮らす高校生ジュノの“妊娠”“出産”体験を通して家族の絆を描いた作品。
新鮮でリアリティのあるセリフとエレン・ペイジのヒロインが乗り移ったかのような熱演が観客の口コミで広がり公開劇場は激増、興行収入1億ドルを超える大ヒット作に成長する奇跡を起こし、気がつけば今年度アカデミー賞ではもっとも脚光を浴びる作品となった。
若干30歳の若手監督ジェイソン・ライトマンにとって『JUNO/ジュノ』は二度目の監督作品、脚本を担当したディアブロ・コディにいたってはこれがデビュー作というなんとも不利な条件にも関わらず作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞部門の主要4部門にノミネートされ見事脚本賞を受賞するという快挙を成し遂げた。

そして6月14日からいよいよ日本公開がスタート。公開に先駆けて映画の中で妊娠と恋に悩む繊細な横顔と、思春期特有の尊大な態度を瞬時に切り替える離れ技を披露し、若干21歳という若さで映画界の最高峰アカデミー賞主演女優賞ノミネートを掴んだラッキーガール、エレン・ペイジが来日し都内で記者会見を行った。

ジーパンにTシャツといったボーイッシュなスタイルで登場したエレンは終始緊張した表情を見せながらも笑顔で挨拶。2度目の来日の印象を聞かれると「great!!」と答え大好きな日本食を食べたことや若者の町である渋谷や原宿を散策した話をしてくれた。

本作では高校生で“妊娠”という難しい役への挑戦だったがエレンは「彼女(ジュノ)の人生の一部を演じるという気持ちに集中して演技しました。また妊娠に関しては本を読みました。演技をする時は作り物のお腹を付けることで姿勢が変わってくるので感情が入って演じやすかったです。」と振り返りながら語ってくれた。
一方でジュノを演じ学んだことは?と質問されると「コンドームをつけることね(笑)」と茶化しながら答え可愛らしい笑顔を覗かせていた。

アカデミー賞にノミネートされた事で一気に世界から注目を浴びる事になったエレンだが、ノミネートされた時の気持ちを聞かれると「当時私は20歳だったし、私以外にノミネートされていた人たちはみんな尊敬する女優さんだったのでなんだかとってもシュールな感じだった。」と21歳らしい正直な気持ちを話してくれた。
アカデミー賞前後での変化を尋ねられると「仕事のオファーが増えて選択肢が広がったことが一番大きな変化。街を歩いていると“エレンだ!”とか“ジュノ!”って見つかってしまうこともあるけど、私はこの役が演じられた事を本当ラッキーだと思っているのでそれも仕事の一部だと考えています。」と自分が想像以上の変化に戸惑う一面もあるようだが、ポジティブにとらえ今後の仕事への意欲をみせていた。

全米での大ヒットに繋がった要因を聞かれると「今回の脚本を読んだ時、正直で深みがある素晴らしい脚本と感じました。だから多くの人に訴えかけるものがありヒットに繋がったのだと思っています。」と脚本を絶賛。劇中で頻繁に発せられるスラングも彼女のお気に入りの一つで「高校時代は自分たちだけの言葉を持っていたし、スラングを喋ることがこの映画にユニークな要素を加えていると思います。」と若者目線からの意見も述べてくれた。日本国内では「性別や年齢を超えて沢山の人に観てもらいたい。」とPRした。

記者会の終盤にはエレンと同い年で日本国内において若手演技派女優として注目を浴びている石原さとみさんが登場し花束を贈呈、日米“21歳”の夢の共演は果たされた。同じ21歳ながらもアカデミー賞にノミネートされたエレンを前に石原さんは「映画を見ているときエレンさんばっかり見ていました(笑)嘘の無い真っ直ぐなジュノが大好きになったし、エレンさんの演技をみて私もこんなお芝居がしたいと思いました。もし日本でリメイクが決定したらぜひやりたいです!!」とエレンから多くの刺激受けた様子だった。
初めはお互いに固い表情だったものの英語を勉強中という石原さんが流暢な英語を披露し積極的にコミュニケーションを図っていた。
石原さんが「いつかエレンさんと仕事がしたい。」と話すとエレンも「素敵ね!!」と笑顔で同意し熱い握手を壇上で交わしていた。今後の更なる成長をしていくだろう二人の活躍が楽しみ。

(Report:大野恵理)