末期ガンで余命6ヶ月を宣告された、自動車整備工(モーガン・フリーマン)と豪腕実業家(ジャック・ニコルソン)。何の接点もない二人だったが、人生の最後に病院の一室で出会い“棺おけリスト”を書き出したことから、これまでとは全く違う別の人生が急速に動き始めた。

30日(水)、主演ジャック・ニコルソンが『ウルフ』以来14年ぶりの来日を果たし、新作映画『最高の人生の見つけ方』の来日記者会見を行った。
サングラスをかけ、並々ならぬオーラを全身から放ちながら登場するニコルソンにマスコミから一斉にフラッシュがたかれると、「東京は迷路みたいだ。他の大都市のように大きな建物がどんどん建っていくが、私にとっては優しい場所という印象だよ。また戻ってこれてうれしい」とあいさつ。

モーガン・フリーマンとの共演について、「彼のことは私たちがまだ若くてワイルドだったとき、70年代初期から知っていて、常に一緒に仕事がしたいと思っていた。今回、彼が参加していることを聞き、脚本のすばらしさもあってすぐに出演を決めたんだ」と出演の経緯を明かし、“もし自分の余命があと半年で、天国に映画を持っていくとしたら何?”との質問には、「年をとるにつれ変わっていくが、『RULES OF THE GAME(ゲームの規則)?』と『パームビーチ・ストーリー』、そして黒澤明監督の『蜘蛛巣城』だね」とコメント。

ジャック・ニコルソン流の生き方をたずねられると「私のライフスタイルは、まさにその日暮らし。その瞬間、瞬間で生きている。恵まれていると思うし、よい人生を送っていると思うよ。私が本作で演じた男のように、自分も最後に何をするか……と考えることもあるが、基本的にはとてもカジュアルなスタイルで生きているよ。女性もとても大好きで、女性からもまあまあ好かれているかな」といたずらっ子のような笑みを浮かべ、自身の“棺おけリスト”を作るとしたら「最後にもう一度ロマンスを経験したいね!」と会場を沸かせた。

そんなニコルソンはおしゃべりも大好きだそうだが、テレビのインタビューには応じないという説があるらしく……?
「ちゃんとプロフェッショナルな理由があって、皆が私のことを知りすぎていると、演技をするときとてもやりづらいんだ。本当はしゃべるのも好きだし、テレビのインタビューも受けたいんだがね」
そこには“自分が演じた役を素直に受け止めてほしい”そんな俳優としての純粋な想いが隠されていたようだ。

そして俳優としての心構えとして、母親からのこんな言葉をいつも胸にとめているという。
「母親から絶対にこれはしてはいけないと言われていることが2つある。1つは、自分を褒めてはいけない。もう1つは、比較をしてはいけない。だから私は自分の作品全てを皆さんに気に入ってほしいし、私自身“これが1番”というのではなく全ての作品が好きだ。だからこの作品もぜひ観て観ていただきたい。とても刺激的で価値があり、感傷的にはならないが、感動できる作品なんだ。僕はいつも皆さんを楽しませたい」
しかし、「母には自分を褒めてはいけないと言われたが、ちょっとだけ自分を褒めたい。それは本作の試写を行ったときに、ワーナーの歴史の中でも2番目にオーディエンス(観客)の評価が高かったこと。墓場でジョークを言うような作品で、高いスコアを獲得したことはとても誇りに思う」と、母の忠告を破って自分を褒めたことを謝罪しながらも自信満々にほほ笑んだ。

(Report:Naomi Kanno)